本紙 83 ×34,8㎝
軸装 166 ×43,5㎝
紙本墨画淡彩

池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵 他
京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲に並ぶ人気アーティスト。

中国4世紀から5世紀の文学者、陶淵明を描いた作品。
手に持った菊の花から、
この人物が陶淵明だと知れます。

陶淵明はお酒好きとしても有名です。
この作品の陶淵明も、
目尻を下げ、とろんとした表情。
酔っぱらっているようにも見えます。
上衣の下の衣には、薄く代赭(朱)が施され、
酔っていることを匂わせています。

川端康成さん旧蔵の池大雅作品に
六幅対の《五君咏図》があります。

中国魏晋時代に、
世俗を厭い、竹林に隠棲した「竹林の七賢人」の内の五人について、
その人物像を、画と書で描いた作品です。

その中の人物の一人、「阮咸/げんかん」の表情に
この陶淵明はよく似ています。
(2018年の京都国立博物館特別展
「池大雅」の図録をお持ちの方は、
131頁の真ん中の人物をご覧ください。)

この「五君咏図」は
大雅50歳頃の作品とされていますが、
本作品は、
何度もなぞって描いた衣文から、
もっと若い時代の作品と思われます。

隠遁し、東晋や宋の朝廷から招かれても応じず、
田園で晴耕雨読の生活を詠み、
芸術的に優れた作品を残した陶淵明は、
世俗を離れた生き方を熱望した大雅の
理想の人だったでしょう。

自分の世界に酔いしれるような表情
優しい筆致で描かれた、菊を持つ手に、
無垢な赤ん坊を見る思いがします。
まるでそこにいるように描かれています。
大雅の描く陶淵明は、
作品の中で生きています。

この作品に捺された3つの印章は、
私の知る限り、今まで確認されていない印章です。
(長丸の朱印はどこかで見た気もするんですが)
筆致、款記から、大雅作品に間違いありません。

岩崎巴人(1917~2010/僧侶・日本画家)の極箱付
本紙に折れ、汚れがございますが、
鑑賞には問題ありません。
軸装にも傷みがございます。

¥280,000
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橆名(ありな)・載成朱文方印(この印ではありませんが、シカゴ美術館蔵「湖山古松図屏風」の印も「載成」)

長丸朱文遊印

足指先にも、代赭が施されています。

軸装は傷みがございます。

裂が、際から剝がれ始めています。

軸装下部

岩崎巴人題箱書

箱蓋裏。