本紙 129,5 ×29,3㎝
軸装 201 ×45㎝
紙本墨画

一番手前には
水をたっぷり含んだ筆を幾重にも重ね、
水面が描かれます。
うっとりするような、水の表現。
ぽっかりと浮かんだ陸地も
水分の多い潤った筆致です。

大きな二本の樹。
後ろの樹は、枝を塊として表現しています。
大雅さんには珍しい描き方です。

向うへ
何も描かれない静かな水面は続いて
細長い船に乗った人物が際立ちます。

向う岸には森があり、
濃淡をつけた点描は
瑞々しく生命力に満ちた木々の緑です。
一枚一枚がキラキラと輝いています。

手前の樹のダミダミとしたおおらかな枝の姿は、
この点描を際立たせるための
特別な面的表現のように思えます。

向うの山の岩肌も
滲むほど水分たっぷりの筆で描かれます。
なんなんだろう。
このみずみずしさ。

墨一色の濃淡、
潤った筆致は、
見る者のイメージを強く刺激し、
無限の色の変化を見せる緑の木々が絵の中に現れます。

大雅のおおらかで深く明るい世界観が
存分に発揮された素晴らしい作品です。

上部に書かれた文字の
なんて自由な姿!
画と同様に
字の太い細い、緩急を
大雅さんはとても楽しんでいます。

落款の書体、使用印から
40歳代の作品と思われます。

「前身相馬方九皐」朱文長方印
「霞樵」朱文連印

時代箱付(箱のサイズがお品と合っていません)

本紙、軸装共にコンディションが良いとは言えません。
特に、作品上方に連続して輪染みが出ています。
画像でご確認ください。

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池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵・九霞、他

京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲と並ぶ、大人気アーティストです。
20才代ですでに名声が高く、
旅が好きで日本各地を旅したため、
日本各地に大量に贋物が存在しています。

近世の絵師で、
国宝・重要文化財に指定されている作品は大雅が最も多いことは、
現在ではあまり知られていません。
文化庁にも数多くの大雅作品が収蔵されています。

川端康成、梅原龍三郎、谷川徹三ら
一流の文化人、画家たちも大雅に魅了され、
その作品を愛藏されていました。
国宝に指定されている「十便十宜図」は川端康成さんの旧蔵品です。

上部ヨゴレ

本紙ヨゴレ部分

本紙傷み部分

軸装ヨゴレ

箱表

箱内側