本紙 縦127,5 ×横33㎝
軸装 縦201 ×横38,4㎝
紙本

会津八一
明治14年(1881)~昭和31年(1956)
歌人・書家・美術史家
新潟県新潟市出身
雅号/秋艸道人・渾斎

八一の歌集「鹿鳴集」(1940)に収めた一句です。

あせたるを
ひとはよしとふ
頻婆果の
ほとけのくちは
もゆべきものを

褪せたるを
人は良しという
頻婆果(びんばか)の
仏の口は
燃ゆべきものを

〈頻婆果〉は
「印度の果実の一つでその色赤しといふ」
と、八一自身の〈自注鹿鳴集〉にかかれています。

[古美術は古色蒼然たるものをのみ好めども、
本来仏陀の唇は、赤くして輝きのあるがその特色の一つなるものを、
というなり。」(自注鹿鳴集)

確かに、天平の仏さまも
平安の仏さまも
作られた当時は、
黄金に輝き、螺髪は青く、
唇は赤く彩色されていましたし、
拂殿も建立当時は、極彩色でした。

「古びているのが仏像の味わい」というのは、
現代人の感覚です。

「もゆべき」の
「べき」に、八一の強い想いが表れています。

そして、
仏を心に持つ人が
《欲望》を克服超越した人
=欲望の無い人
であるというのも、
私は違うと感じています。

燃えるように赤い情熱を内に持ち、
熟れた果実のように艶めかしいのが
仏の姿だと、
あるいは、
仏の精神を肚に持った人のように思うのです。

「頻婆果の」は
一筆で書かれた
《ほとけ》
を主役たらしめるために下方に描かれていますが、
その言葉だけ漢字で書かれ
左右の行は、
「頻婆果」
を避けるように曲がって
この言葉がとても大切なことがわかります。

《頻婆果》の「ほとけ」のくちびる。

本紙、軸装にシミがでています。
折れもございます。
画像でご確認ください。

宮川寅雄
(1908~1984/会津八一の弟子。美術史家)
の題字鑑定箱付
松下英磨
(1907~1990/美術研究家・中央公論編集部長)
が名刺に書いた宮川寅雄への領収記付属

¥275,000
(税抜き価格 ¥250,000)

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会津八一

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