径 約6,4㎝
高さ 約8,3㎝

渡辺喜三郎

益田鈍翁さんを中心とする近代経済人数寄者が
大変ご贔屓にされた東京の塗師。

つい先日まで、
京都国立博物館で開催されていた特別展
《畠山記念館の名品》では、
畠山即翁さんが、喜三郎に作らせた
老茄子茶器や、
鈍翁さんが喜三郎に作らせ、
その後即翁さんのご所蔵となった
明月形懐石皆具(朱漆に螺鈿の桜散し)
春慶塗棚水指
豆腐茶箱
などの展示がありました。

その見事さに、
感嘆された方も多いことと思います。
私もその一人です。

本作品は、
表面は木目を際立たせ、
ランダムな太さの轆轤目を残した木地、
内を喜三郎特有の艶々の真塗りにした
少し細みで、甲が直線的な棗です。

オリジナルは、
小堀遠州所持、
中興名物の「笆(まがき)棗」。

遠州が
「吾宿乃庭乃笆農荒行乎真乃埜~」
と、書きつけたことから、こう呼ばれるそうです。

《笆》は、竹や芝を粗く編んだ垣のこと。

この棗の、少し上背高く、角ばったシルエットが、
笆をイメージさせたんですね。

オリジナルは表面に塗りが施されていますので、
この、喜三郎の木地の作品は、
オリジナル作品の名前からインスパイアされ、
更にもう一歩進んだ意匠です。
凄い!

木目を際立たせた剝き出しの木地の味わいと、
開けた時の艶々が対照的です。

素晴らしいセンスと技巧。
恐れ入るばかりです。

鈍翁を敬愛し、
薫陶を受けた、
裏千家初の、女性老分(ろうぶん)
堀越宗円(1892~1978/松方正義の息女)の在判と箱蓋裏書き。

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渡辺喜三郎作笆棗

底部に、材の傷みによる景色があるのも素晴らしいセンス!

このフォルムが見た目に近いです