22,7 ×21,8㎝ 四方
高さ 約27㎝
桃山~江戸時代初期
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竹で作られた棚に蔓を這わせ、
葉を繁らせ、
たくさんの実をつける葡萄の木。
琳派の屏風を思わせます。
変化を持たせながら、
重箱を縦に貫く垂直なラインを描いて、
棚の柱が蓋上に続いています。
蓋上は、
竹で組んだ棚の屋根が斜めに描かれ、
桃山時代に流行した片身替りの意匠。
斜めのまま下に続いています。
隣の側面は右上から左下への斜めの画面構成です。
更に続く左の側面では、
また右下から左上へ上ります。
大胆にうねる画面。
比類のない素晴らしいデザインです。
メインモチーフの葡萄の葉の蒔絵表現は、
金蒔絵の葉に金の葉脈、
金蒔絵の葉・塗り残して葉脈を表すもの、
梨地に金の葉脈、とバリエーション豊富。
虫食いや、葉裏部分だけに、
少しだけ青貝が象嵌されています。
そのセンスの秀逸なことに
惚れ惚れします。
金蒔絵の輪郭を銀でとっているため、
非常に絵画的。
葡萄の葉や実、蔓の描写も卓越して見事です。
古伊万里や、志野・織部焼
唐津焼などにも共通することですが、
桃山時代の作品は、
独特の自由さと大胆な表現力です。
また、
たくさんの実をつけることから、
葡萄は古来子孫繁栄の吉祥モチーフ。
古典作品に多く用いられています。
ただ、葡萄《棚》は非常に珍しいです。
内、底は黒漆。
上が浅く、下にいくほど深くなる段、
長方の器形は、
古い重箱の特徴です。
接合部分が少し離れ始めている角、
漆の傷み、小傷、
螺鈿の剥落部分がございます。
鑑賞、使用に耐えないものではございません。
古い時代のお品であることを、
ご理解ください。
《ご売約ありがとうございます》