径 約7,1㎝
高さ 約8㎝

渡辺喜三郎

益田鈍翁さんを中心とする近代経済人数寄者が
大変ご贔屓にされた東京の塗師。
西の宗哲・東の喜三郎と称されます。

本作品は、箱の銘が墨で直筆されていることから、
三代渡辺喜三郎
明治43年(1910)~昭和61年(1986)の作と思われます。

非常に薄く挽かれた木地に、
「塗り立て」と呼ばれる、
塗りっぱなしで研ぎ出さない手法で作られています。
画像でご覧いただいても、
とても光っていますでしょう。
他の塗りものと、
明らかに異質の光沢です。

分かってくると、
写真で見てもすぐに喜三郎とわかります。

えもいわれぬ上品で軽やかな光。
非常に高度な技術のいる漆芸技法だそうです。
溜塗されながら、木目の美しさも味わえる姿で、
「木地溜塗」と呼ばれます。

合口の重なり部分を含む内側と底は黒です。

溜塗と同様に、
独特に上品で明るい艶々な黒。

使用頻度が高かったものと見え、
小さな疵が数か所ございます。

画像でご確認ください。
出来ればお手に取ってご確認いただきたいお品です。

喜三郎自身は、名人塗り職人として仕事をし続け、
作家として生きませんでした。
その貫かれた職人哲学に、痺れます。
そうでなければ、
何の装飾もない、
「塗っただけ」
の作品に、これほどの感動はないように思います。

喜三郎の下から、
赤地友哉、田所芳哉、山永光甫ら、
非常に優れた髹漆作家が世に出ています。

お品そのものに銘はございませんが、
間違いなく喜三郎作品です。
蓋表に箱書きがされていない点から判断して、
どなたかの箱書きが予定された作品であったことが推測されます。

共箱
(汚れ・修理がございます)

「使わないで蔵にしまわれるのが、
作り手としてなにより辛いです」
と、三代喜三郎さんはおっしゃったそうです。
愛され、とてもよく使われた本作品。
本望であったことでしょう。
深刻な傷みはありません。

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渡辺喜三郎作木地溜塗大棗


渡辺喜三郎作木地溜塗大棗
  

  

蓋甲に線状の凹みがあります

底裏

渡辺喜三郎作木地溜塗大棗
  箱の汚れ
渡辺喜三郎作木地溜塗大棗

四方桟は接着しなおしてあるようです
ヘタな修理です