本紙 30,2 ×40,7㎝
軸装 113 ×46㎝
紙本

益田鈍翁
嘉永元年(1848)~昭和13年(1938)
本名・孝
佐渡の幕臣の家に生まれ、聡明慧敏な頭脳、人柄で、
三井物産を設立し、繁栄させた三井財閥のトップリーダー。
ご維新後の日本を近代化に導いた経済界の巨星の一人です。
同時に、
日本の古美術、とりわけ最高峰の仏教美術を
茶の湯に取り入れた大茶人です。

江戸幕府から明治政府へと世の中が激変し、
それまでお茶の庇護者であった各地の殿様達に代わって、
新たに支配階級に君臨した新興経済人達が
お茶の庇護者となりました。
その中心、
太陽が鈍翁さんです。

当時、お茶は政治経済のトップリーダー達の、
最高の社交の場であったんです。

楷書の「壽」の一文字に、
鈍翁さんの美しいお手で、

堂能しみ盤 /たのしみは
命乃ほ可尓 /命のほかに
な尓可あらむ /なにかあらむ
奈可らへと見る /ながらえとみる
有明の月
九十叟 鈍翁書

鈍翁さんは91才でお亡くなりになっていますので、
本作品は最晩年も最晩年のお手によります。

全くすべての装飾を取り去った「壽」の文字。
一見、力が弱く見どころのない書に思えます。
ある茶道具商の、博学で聞こえた名物番頭さんが、
「白井さん、あれは贋物じゃなかったですか?」
そうおっしゃったほどです。

添えられた一句は、
「楽しみは、命の他になにかあらん」

幕末からご維新の、天下がひっくり返った激動の時代に、
器の大きさと度胸で己の知力・体力の限りを尽くして日本経済界を作り上げ、
支配階級の最高峰に君臨した鈍翁さん。
国宝の古美術品を私蔵し、茶会のしつらいとして使い、
「招かれなければ紳士に非ず」
ともいわれた大師会を始めたり、
佐竹本三十六歌仙の巻物を切り分けたり、
思い通りにならないことはなかった鈍翁さんが、
最後に「楽しみ」と思ったことは、

「命の他になにかあらん」「永らえと」

肥痩のある、魅せる書の姿ではなく、
ただ淡々と、だれが見てもわかる「壽」の書に、

鈍翁さんの心情が確と現れています。

大きな字を書くには細い筆で、
見せ場のない均一の太さの線で書かれた書姿。
実は遠くから見てもはっきりわかる、非常に強い墨蹟です。

年齢というものには、
どんな大金持ちも、王様も勝てない。
歳を取ると衰え、死んでいく。
夜が明けると、月はその存在を輝かせ続けることはできないように。

人の心を掴み離さなかった月、
燦然と光を放った月が、
白々と明け方の空に浮かんでいる。
それは、また別の美しい姿です。

年齢特有に夜明けに目が覚めて、
暁に浮かぶ月の姿に、
己の姿を月に写す鈍翁さん。

しみじみと深い、
非常に良い作品です。

高僧の墨蹟のように、もみ紙で仕立てられた軸装。
貼り風帯、塗軸先

本紙にシミがたくさん出ています。
折れもございます。
画像でご確認ください。
格安でご提供させていただきますので、
お好みで、洗い・仕立て直しされると良いと存じます。

やや寸の大きな無地箱

¥220000
消費税・送料込

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益田鈍翁筆 壽

益田鈍翁筆 壽関防印「自楽」白文長方印
益田鈍翁筆 壽
「鈍翁之印」朱文円印
益田鈍翁筆 壽  
コンデション仔細
 
軸先 / 裏面
 

  
金具に錆が出ています / 巻留の墨書き