径 約20㎝
高さ 約3,5㎝
1640~50年代
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初期伊万里には珍しい更紗模様。
素焼きせずに、乾かしただけの胎土に絵付けされているため、
呉須が肌に沁み込んだ柔らかな発色です。
瑠璃・薄瑠璃・余白の白が、バランスよく繋がっています。
ハート型の尻尾が花びら状に広がったモチーフの連なりは、
元~明時代の堆朱の屈輪(ぐり)文様の影響も感じさせます。
更紗模様は、1650年前後から操業が始まる初期鍋島にも初めから用いられる文様。
オフィシャルな藩窯として、難しい細密な模様は、
職人の技巧の腕の見せ所であったのかもしれませんし、
海を渡ってきた外国の文様は、身分の上下を問わず人々の心を躍らせたのでしょう。
捻じりの加わった凹凸を縁に施すことは、
この後の古九谷様式の時代に多用されます。
初期伊万里では珍しい技法です。
見込みと縁の境目に、唐草を一周させることも、
同様に古九谷様式に継承されます。
厚い胎土、生掛けの釉薬は初期伊万里の技法であり、
装飾は古九谷様式に通じることから、過渡期の作品と推測されます。
裏の縁には、伸びやかな唐草が一周。
高台内は、外側より少し凹んで成型されています。
たっぷり施された釉薬が所々溜まっていて、好ましい感じです。
裏の縁に貫入があるのはしょうがないとして、
表裏を貫く長いトリアシが二本孤を描いて走っていますので、
格安にせざるを得ないのが、伊万里好きとしては心苦しいです。
なかなかお目にかかれない、言葉にしがたく魅力的な初期伊万里です。
箱無
¥70000
消費税・送料込





トリアシ
高台に凹みがございますが、釉薬が掛かっておりますので、疵ではございません

裏の貫入

