池大雅に魅せられ、その作品を蒐集された佐々木米行氏。

米行氏は、20歳代から大雅に傾倒し、
大雅の墓の建物を修復されたことをきっかけに、
最後の大雅堂主・霞邨から、
大雅が大切にしていた如意輪観音と、
月峰の描いた大雅の肖像を譲られます。

昭和33年の「南画研究」(中央公論美術出版)に、
米行氏はこう書かれています。
「大雅の記念館が再現出来て、念持仏、肖像
~中略~
3歳から晩年までの遺墨、尺牘その他私の所蔵している百点近いのものが展ぜられたら、
~中略~
いささかこの偉大なる先人に報いることができるのではないかと思う。
これは私の夢である。」

米行氏は、昭和34年に
「池大雅美術館」を開館されました。
「夢である」と書かれていましたが、
寄稿時には、きっと夢は実現のカタチになりつつあったのでしょう。

この、「南画研究」の米行氏の文章は、
とっても面白いんです。
非常に正直で、タッチングです。
米行氏ご自身が、
大雅の清らかな精神・生き様に重なる部分の多い方であったのだろうと、
思わずにおれません。

「大雅ばかり30年やって得た私の結論は
《大雅の鑑定は、とてもむずかしくて並大抵のことではない》ということに尽きる」
と、書かれています。

米行氏の「池大雅美術館」の旧蔵品は、京都府に寄贈され、
京都文化博物館で、毎年テーマに沿って
「池大雅展」
が開催されます。

今年のテーマは、
「あるコレクターの視点」

もちろん、佐々木米行氏の事です。

展示作品数は、毎年多くありません。
それが良いんです。
とても近い距離で、作品と対峙できます。
ここ数年は、すべての作品に詳しいキャプションがつけられ、
内容が濃く、わかりやすい展示です。

是非お出かけください。

京都文化博物館《池大雅展-あるコレクターの視点》

2023 10/7(土)~12/3(日)
池大雅展 ─あるコレクターの視点 – 京都府京都文化博物館 (bunpaku.or.jp)