外径 約7,2㎝
高さ 約1㎝
□
掛珞(くわら)は、僧侶の袈裟を固定する肩の下あたりの環です。
この掛珞形の香合は、表千家4代江岑好・梨地に梅月蒔絵、
裏千家4代仙叟好・黒塗に外は桔梗、内は藤棚描金の作品が有名です。
本作品は、外側に糸目を施し透き漆拭き、
内は黒漆、蓋裏に桜の花びらが3枚と花芯が研ぎ出し蒔絵で描かれ、
梨地紛が霞のように蒔かれます。
僧侶の着ける掛珞の形、生きることの無常の象徴、散りゆく桜。
浅からぬテーマです。
一見、派手ではないけれど実は高度な技術を要する糸目成型。
壁の厚みは1㎜ほど、とても薄い仕上がりです。
箱の蓋裏に
「掛珞香合 七十之内」
と墨書きされ、何かの記念に誂え配られたお品と推察されます。
箱の材が良くありません。
底部分の板の大きな片は節部分で、穴があります。
そのように、モノのない時代に、苦心の上に誂えたお品であろうと考えられます。
桜を描くなら、普通は花を描くものを、
散った花びらと、残された花芯を描くとは。
何か、生命のはかなさを強烈に心に刻む出来事に遭った方が、作らせたのではないかしら。
以前、
満開の桜並木に強い風が吹き、
絶頂の盛りの桜が、目の前で一斉に散り始める瞬間に遭遇し、
涙が止まらなかったことがありました。
胸が締め付けられるほど美しい桜の花。
それが惜しげもなく散っている。
これから葉を茂らせ、それも枯れて、葉も散って枝だけになる。
そしてまた春が来たら蕾をつける。
それが生きることなんだな。そう思いました。
¥55000
消費税・送料込




□



箱蓋裏/ 内

箱裏面
