本紙 約86,7 ×32,9㎝
軸装 約166,5 ×34,4㎝
紙本墨画
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松花堂昭乗
天正10年(1582)~寛永16年(1639)
江戸時代初期の僧。
寛永文化のトップリーダーの一人です。
石清水八幡宮・男山の瀧本坊の住職であったため、 瀧本坊とも呼ばれます。
もともとは近衛信尹に仕え、公家社会、武家社会のどちらにも深く交友した、
この時代の社交の中心人物の一人です。
小堀遠州や龍光院の江月さんとも親密。
遠州の茶杓の箱書きをたくさんされていることからも、それがよくわかります。
江月宗玩
天正2年(1574)~寛永20年(1643)
号/ 欠伸子・懵袋子
大徳寺第156世
江月さんは、
安土桃山時代、南蛮貿易で巨万の富を得た堺の豪商、
当時日本一の金持ちといわれた 天王寺屋の次男として誕生し、
大徳寺龍光院(りょうこういん)の開祖の春屋宗園のもとで学びました。
父親は、大貿易商であっただけでなく、
織田信長や豊臣秀吉に、茶頭としても仕えた、津田宗及(つだそうぎゅう)。
当時お金持ちは、跡取りでない子息をお寺に入れ 教養を身に付けるのが流行ったのだそうです。
学問、禅の才能に優れ、人としても優れた方で、
当時の文化《寛永文化》の中心人物だったんです。
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牧童牽牛
帰思悠々
夕陽傾夢
青山更幽
懵袋子
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牧童が牛を牽いて、のんびり帰ろうと思ってる
夕陽は傾いて夜に向かうところ
青山は刻々と幽玄な姿にになっていくよ
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寛永文化代表する仲良しの二人の合作。
松花堂の描いた牛の表情がとても良いですね。
のんびりのんびり、
地面にいる虫か、草か何かを嗅いでいます。
牛を牽いて帰るべき牧童も、気ままに笛を吹いています。
穏やかな時間が切り取られています。
江月の賛は特有の洗練された鋭い筆致。
無駄のない美しいお手です。
真ん中から右に寄って書かれ、
その空白が、暮ゆく景色の移ろいや、
安らかに閉じていく一日の時の流れを感じさせます。
この感性、シビレます。
中廻しに、鳳凰が絵描きだされた金襴が使われ、
傷みは激しいですが、上質な古い竹屋町裂が、一文字と風帯に用いられ、
軸先は象牙。
極上の表具です。
オリジナルであろうと推測いたします。
折れや傷み、汚れがございます。
画像でご確認ください。
四百年前のお品としては、悪くないコンディションです。
もちろん鑑賞に問題ございません。
時代二重箱
¥165000
消費税・送料込
松花堂印章
江月款印章
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巻き留め裏、風帯は傷みが激しいです