約18,7㎝
丸櫂先・丸撓
逆樋・一本樋
直腰・中節
四刀
黒漆塗

今東光
こんとうこう
明治31年(1898)~昭和52年(1977)

作家であり、天台宗の僧であり、国会議員もされています。
晩年に〈週刊プレイボーイ〉で連載されていた人生相談コーナーのタイトルは
「極道辻説法」。
ローマ法王に謁見できるほどの僧侶であり、
同時に、世俗の欲や煩悩のただ中に身を置いて、それを愉しみ、精力的に活動されました。
あまりに多様な活動をされていて、
軽々にご紹介できません。
Wikipediaをご参照ください。
個人的には古事記の解説なんか、とても面白かったです。
作家としての作品で一番有名なのは、主人公「八尾の朝吉」が有名な「悪名/ あくみょう」でしょうか。
1961年、勝新太郎主演で映画化され、大ヒットし、シリーズ化されました。
初代文化庁長官の今日出海氏は弟。

竹の茶杓にべったり黒漆が施され、
櫂先の内側だけ金箔が貼られています。

銘の「山法師」には、比叡山延暦寺の僧の意があり、
平家物語に
「賀茂川の水、双六の賽、山法師、是れぞ我が心にかなわぬ物」と、
白河院の言葉として表されています。

東光さんは、33才で出家たしあと延暦寺の子院で三年修業しています。
山法師は、東光さんご自身のことと思われます。

僧侶の茶杓は、大抵竹そのものの姿で完成形とされますが、
本作は異形。
竹を基として、厚く黒漆が塗られ、更にお茶を掬う櫂先に金箔が貼られています。

よく観察すると、基になった竹の茶杓は、
切止やそこここに疵があり、それをすっかり覆うように、漆が塗られています。

東光さんは、中学を女子との恋愛による素行不良で退学になったあとは独学。
自らの才能と人間力で文学界で頭角を現し、川端康成や芥川龍之介らと深く交友、
また作品の映画化で映画界でも大きな存在となりますが、
芥川龍之介の自殺を機に出家を志したとされています。

昭和30年(1955)に阿闍梨となり、
昭和41年(1966)には、中尊寺貫主に晋山。
国宝金色堂の昭和大修理に尽力し、昭和43年に落慶大法要を執り行っています。
この間も作家として数多くの作品を世に出しています。

天台宗総本山延暦寺座主の直命によって、
大阪八尾の天台院の住職として入山したことで、
この地の人の気質・風土・歴史・習俗に触れ、これを熱愛し作家活動への情熱を再燃させた、
とその著作に記されていました。

並の人間には持ち合わせない優れた能力と、
それを世の中で生かしてゆける図太さ・信念を貫ける精神力、
人間愛に満ち溢れた人であったのでしょう。

竹に厚く漆をかけ、更に金箔を貼った普通でない、
見る者に強烈なインパクトを与える姿は、
今東光さんらしい。
圧倒的な見た目だけど、中は竹なのよ。
しかも傷だらけかもしれないのよ。

筒は大変太く、正面から向かって左右の色がはっきり違っています。
非常にカッコイイです。
向かって右側にほぼ下まで達する割れが生じています。
箱の紐が通常と違い、底の内側を貫いて一本で長いです。

共筒・共箱
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今東光茶杓 銘「山法師」

 
筒表・裏
割れ
箱蓋裏・箱内