本紙色紙 約27,2 ×48㎝
額 約45,6 ×66,7㎝
額の厚み 5,2㎝
紙本
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土門拳
明治42年(1909)~平成2年(1990)
写真家
写真集《古寺巡礼》はあまりにも有名です。
古寺、仏像、古陶磁、
人と人の営み、人の営みの痕跡を撮影した作品集は枚挙にいとまがありません。
昭和を代表する写真家。
Wikipediaをみると、彼の撮影した有名人の多さに、
改めて驚きます。
本作品は大きな色紙に書かれた四文字。
「見せ場」を作らない、実直な書です。
この方は、脳出血で右半身がご不自由になられた後、
左手を使っています。
本作品は、色紙の縦横に小さな穴をあけ、
穴同士をつないだ線を押してごく細い罫線をつけています。
それを指標に一文字一文字は書かれています。
ゆっくりとした縦線のリズム。
一気には引かれておらず、時間がかかっています。
「木」の縦画の最後のハネも、穏やかに上に向かいます。
利き手でない左手で、丁寧に筆を進めたのでしょう。
色紙にこのように丁寧に書かれたのは、
書用の紙では書けなかったためと推測されます。
報道写真家としてキャリアをスタートさせた土門さんが、
二度の脳出血の後、車椅子で撮影を始められたのが風景。
それを現した言葉に思えます。
色紙は、額装で隠れた周囲が白く、本紙はヤケていることがわかります。
右端にわずかによごれがございます。
掛け軸に直されるのも良いと存じます。
ご希望の方には、腕とセンスとコストパフォーマンスのの良い表具師さんをご紹介させていただきます。
おそらくこの色紙のために誂えた額です。
額は外枠のところどころが傷んでいます。
《お問い合わせください》
額から取り出した色紙の状態
右に汚れ
ピン痕と押し線
色紙裏
額裏
額の裏板を外したところ
額傷み箇所
額傷み箇所