口径 約15㎝
高台径 約6,4㎝
高さ 7~7,5㎝
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小山富士夫
明治33年(1900)~昭和50年(1975)
世界的な陶磁器研究家、陶芸家。
雅号/古山子(こざんし)
自らが強く推して、
鎌倉時代の古瀬戸として重要文化財指定を受けた
「永仁二年」と記された瓶子は、
実は友人の陶芸家加藤唐九郎(または岡部嶺男)の作品であると判明し、
文部技官・文化財専門審議会委員を辞職した小山富士夫。
彼への私の知識は、書かれたものを読んだにすぎませんが、
中国に渡って古窯址を現地調査し、
新発見されたり、
古陶磁の研究に情熱を注がれ、
その後の指標となる陶磁全集を出版されたり、
文化財を後の世に残した仕事の業績の偉大さ。
永仁の壺の騒動の後、
何も語らなかった潔さ、上品な生き様。
器の大きさ。
その高貴な人間性が、古山子の作品には現れているように思います。
この方でなければ生みだせない姿です。
毒気がこれっぽっちもありません。
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本作品は茶碗としてはかなり大振り。
一旦キュッと締まったくびれから、開いた高台。
なだらかに上に向かって広がり、
口縁に近い部分は帯状に鋭角に立ち上がります。
外側に輪線が施されています。
全体に白い化粧土がむらむらと施され、
所々切れて灰色の胎土が見えています。
鉄分でしょうか、クレーター状の小穴が、大小の星のように出現しています。
美しく自然な景色です。
口縁上は白土が剥がされ、ほぼ一周グレー。
瀟洒です。
高台の畳付は三日月型。
真ん中に兜巾があります。
その左側に「古」と染付で銘が書かれています。
呉器茶碗を思わせる基本の造形に、
古山子の高潔さと愛すべき人間性がとてもよく表れた可愛い作品です。
所々に表面の釉薬の欠落した箇所がございますが、
窯疵と判断します。
マイナスポイントではなく、むしろ自然な景色。
ただ上品なだけでない、強い存在感をもたらしています。
箱誂え中
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