径 約21,2㎝
高さ 約2,2~2,5㎝
1650~70年代
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最高に面白い絵!
高く聳える山の麓で、跳ねる鹿のつがい。
非常に躍動的に描かれます。
左後ろ脚以外は、全部空中です。
素晴らしい描写力!
牡鹿の顔といったら、
口を開けて、目は全く上に向いています。
変な顔~!
よく見ると、ダミダミと施された美しい呉須の中に、
ちゃんと毛並みも表わされています。
楽しくてしょうがない!
そんな様子です。
上部にいっぱいに描かれた山は非常に抽象的です。
というか絵本の中に出てくる「山」みたい。
画面向かって左からやってきたグルグルと渦を巻く雲の表現の大胆なこと!
ずっと後、江戸時代後期に、葛飾北斎の描いた富士山の浮世絵を彷彿とさせます。
あれ?
よく見ると、グルグル雲は山並みを潜って描かれていますね。
こんなところにも、遊びはひそんでいます。
右からは全く別の姿の雲が、富士山にかかっています。
このお皿の魅力は、表だけではありません。
裏側の縁部分に描かれるのは朝顔で、
これでもかと、伸び伸びと蔓を伸ばし、罫線に描かれた輪線に同化しつつあります。
筆が走って自由な感じが気持ちいいですね。
最高に絵が上手で、
最高に遊び心のある職人によって絵付けされています。
タイトルには七寸皿と書きましたが、七寸より大きいです。
表面のガラス釉に、小さな点状のヒビがたくさん発生しています。
降りものも多いです。
裏面の目痕は大きく、大豆大のひっつきもございます。
少しへたっています。
今でいう、アウトレット品です。
そんなマイナスポイントを考慮しても、
間違いなく素晴らしいお品です。
かつては古い時代の九谷焼と考えられていたために古九谷と呼ばれ、
その中でも藍色(呉須)だけで絵付けされたために、
「藍九谷」と呼ばれたタイプの古伊万里です。
この鹿の絵は、次の柿右衛門様式に多く描かれるモチーフ。
でも柿右衛門様式の時代の鹿は、こんなに生き生きと筆が走ってはいません。
もっと上品に、動かなくなって「絵」になってしまいます。
見るほどに引き込まれる、幸せなお皿です。
極上の呉須の透明な美しさも、他の時代にない質感です。
箱無
¥40000
消費税・送料込





器の成形に斜めに鎬(しのぎ)がある場合があるのは、この時代までの特徴の一つ

高台の外側に角度が付けられ、内側が垂直に近いのもこの時代の特徴です
