径 約14,8㎝
底径 4,3~約5㎝
(個体差があります)
高さ 約3,6㎝
1650~70年代
□
牛乳のような柔らかな白色。
濁手(にごしで)と呼ばれる、古伊万里の最高傑作へつながる肌です。
陶土の精製度が高くきめ細やかなので、
非常に繊細な陽刻模様が可能です。
陽刻は、
凹凸で文様を表す技法です。
薄く切った陶土の板を、
型に押し付けて模様を表します。
本作品は、この時代特有の形をしています。
底から柔らかなアールを描いて低く立ち上がり、
口縁が外に開いています。
うっとりする形です。
最高の材料で、最高の技術をもってして、
作るのに手間ひまがかかるお品です。
「藍九谷手」は、
江戸時代初期の古伊万里のカテゴリーの一つです。
1650年代~70年代の古伊万里は、
かつては九谷焼きの古い作品だと考えられていて、
「古九谷」と呼ばれました。
その中でも、
染付=藍色だけで絵付けされたお品は、
「藍九谷」。
現在では、研究が進んで、古伊万里と認識されています。
それで、カテゴリーとして「~手」を付け、
「藍九谷手」と親しく呼ばれています。
□
右手に頭を向けた耳の長い兎が跳ねています。
脚の躍動感がすごい!
その後ろに描かれているのは、鹿の夫婦のようでのようです。
枝分かれした角を持つ雄と、
その前にいるのは後ろ向きの雌。
動物たちの後ろには、
なだらかなアールの壁面を効果的につかって、
幾重にも遠山が描かれます。
反対側にはお堂があり、
更によく見ると、空にねぐらに帰る鳥たち。
こんなに繊細な絵画を、
お皿に施そうとした職人たちの熱に感動します。
8枚ありましたが、
焼成に成功せず一面に貫入の入った甘手の個体と、
ぶち割れで、
売り物になるのは3枚だけです。
完成品を作り上げることが、
いかに難しかったかを物語っていますね。
3枚の内2枚は高台に小疵がございます。
画像でご確認ください。
箱には、
「高麗焼」
と書かれています。
この時代の伊万里焼の白磁にはこの箱書きが多いです。
舶来のお品に、憧れが強かったことがわかります。
個々にご紹介いたします。
個体【い】
左/兎 右/鹿夫婦
お堂
とても繊細な陽刻です
個体【イ】は縁の一部が凹んでいますが、釉薬は掛かっており窯疵です。
《お買い上げありがとうございます》
個体【ロ】
個体【ロ】は、振りモノが多いです
高台に小疵あり
¥35,000
消費税・送料込
個体【ハ】
やや陽刻の現れ方が緩いです
降りモノがあります
高台に僅かな疵
¥35,000
消費税・送料込