110 ×幅21,5㎝
紙本淡彩

益田鈍翁
嘉永元年(1848)~昭和13年(1938)
本名・孝
佐渡の幕臣の家に生まれ、聡明慧敏な頭脳、勇敢で向上心に満ちた豪快な人柄で、
三井物産を設立し、繁栄させた三井財閥のトップリーダー。
ご維新後の日本を近代化に導いた経済界の巨星の一人です。
同時に、
日本の古美術、とりわけ最高峰の仏教美術を
茶の湯に取り入れた近代無双の大茶人です。

江戸幕府から明治政府へと世の中が激変し、
それまでお茶の庇護者であった各地の殿様達に代わって、
新たに支配階級に君臨した新興経済人達が、お茶の庇護者となりました。
その中心、
太陽が鈍翁さんです。

当時、お茶は政財界のトップリーダー達の、
最高の社交の場であったんです。

本作品はマクリ。
軸装されていない、紙に書かれたままの作品です。

長い紙のほぼ真ん中から、小さな字で
「人間萬事塞翁馬」と書き、
その下に花札が二枚。

桐の素札と菊の短冊。

菊と桐。
意味ありげです。
短冊の描かれた札は、少し役付きですね。

この二枚に鈍翁さんが何を含ませたかわかりかねます。
わからなくても鈍翁さんが花札を描いているってことだけでも抜群に面白い!
花札といえば博打でしょう?

鈍翁さんは、もともと佐渡の幕臣であった父がその才を認められて出世し、
不平等条約解消のためのフランスへの使節団の一員に選ばれた時、
潜り込んでついて行ったのが16才。
西洋式最新の軍隊を学んで帰り、新政府軍で重用されます。
洋行以前に「これからは絶対英語が必要」と考え、
自ら学んで通訳の真似事ができるようになっていたんです。
ずば抜けた先見の眼と、恐れを知らない度胸と冒険心!
「イチかバチか一丁やってやる」

裸一貫から天下を獲った人生は、勝負の連続だったことでしょう。
特に有名なのは三池炭鉱払い下げ時の入札。
鈍翁さんがあらゆる手段で情報を集め、わずかな入札金額の差で手中に収めた三池炭鉱が、
その後の三井財閥繁栄のきっかけになったことはつとに有名です。

私の知る鈍翁さんの生き様・お人柄は、
鈍翁さんの話した言葉を書いた秘書の著述からの知識が主になっています。
ご本人が伝えたい部分
上手くいったことと同じくらい、人に言えない劣境やトラブルが
後から後からやってきたことは想像に難くありません。

そんな鈍翁さんの《人間萬事塞翁馬》、
面白く、重いです。

大きな一行書でなく、
短冊に書くように小振りに、でも伸び伸びと書いています。
そこに、花札を添えて、遊び・軽やかさを持たせています。

「九十叟」ですので、鬼籍に入られる前年、最晩年です。

花札の絵と最上部の右側に破れがございますが、
欠損部分はないので、軸装するとわからなくなります。

上の空間が大きいので、短く軸装されるのもありでしょう。

鈍翁さんはこの時代の政財界の巨星。
数寄者の頂点に君臨し、社交の中心にいて太陽のように周りを照らした人でした。
消息や、頼まれて書いたり、直筆作品は相当数ありますが、
本作品はかなり珍しい作品と存じます。

¥132000
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