径 約10,6㎝
高さ 約2,3㎝
個体差がございます
1700年代前半

飛翔する鶴がお皿の中心を向いて3羽。
朱で輪郭を描き、体は薄朱、首元と羽先、尾羽に黒がぽってり乗せられています。
羽の上部は朱と緑で縞とし、
中ほどは金の羽根です。

とても強い色の取り合わせ。

おめでたい鶴のモチーフを、
格式の高い黒と金で強調した文様。
興味深い彩色です。

縁起の良い鶴は、たくさんの伊万里の器に描かれますが、
本作品のように、羽を四段に描くのは、
稀な丁寧な絵付けです。

よく見ると、
三羽の内一羽だけ、黒と金の順番が逆ですね。

10枚の内、一枚は三羽とも長い羽が黒く彩色されています。
本作品のように、最低20枚単位で作られた器は、
数読みのために、10枚に一枚程度、
他とちょっとだけ違う模様にしたらしいんです。
現代でいうなら「隠れキャラ」的に。

もう一つ、
このお皿には素晴らしい特徴があるんです。

お皿の真ん中、見込み部分に、
白い生地に白で、菊の花らしき一枝が、対に向き合っています。

色を用いずに模様を表す場合に使われる陽刻の技法でなく、
フラットな表面に、模様を刳り貫いた型を乗せ、
白土を盛ることで刷り物のように模様をつけた「白土型紙摺」の技法。

1680年代~1700年代の延宝様式の時代、
最高の伊万里の品に少しあるだけのレアな技法で、
大量生産時代に突入したそれ以降の作品に、この技法の使われた作品を私は初めて見ました。

同じように立体的に模様を描く「陽刻」は、
文様を彫った硬い型に、平らに成形した皿の表面を押し付ければ模様が現れますが、
白土型紙摺は、
成形した皿の表面に型紙を乗せ、白土を塗って型紙を剥がす手間がかかります。
大量生産には合わない手間だったのでしょう。

というわけで、とっても珍しい、
特別なお小皿です。

三羽いる鶴は、嘴を開けたり、閉じたりしています。
一羽一羽違う表情をしていて、
使う人を飽きさせません。

10枚無傷完品
内一枚に窯疵がございます。
3枚小傷
共箱

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小皿
古伊万里白土型紙摺花文色絵三鶴小皿
古伊万里白土型紙摺花文色絵三鶴小皿


 

古伊万里白土型紙摺花文色絵三鶴小皿
見込みの白土型紙摺部分
古伊万里好きには堪らないレア技法です
 
裏が無模様なのが、表の鶴を引き立てています
小皿
三羽とも黒い羽部分の長い個体・他のとずいぶん印象が違って見えます
面白い!