幅 約5,5㎝
胴部の厚み 約2㎝
高さ 約7,5㎝
1650~90年代
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所謂「古九谷手」に分類される、江戸時代前期の古伊万里青磁。
この時代の青磁は、多く、陽刻で模様が表されます。
《陽刻》は凹凸を付けた型に胎土を押し付けて文様を現わす技法。
手間をかけて不純物を取り除いた、精製の良い胎土でなければ、細かな模様が表れませんし、
立体物を作るのは、轆轤で成型できる皿類よりもずっと労力の必要な仕事です。
伊万里が、生活レベルの高い武家や大商人からの注文で、
高級品を作ったこの時代に、優品が多く制作されています。
香合などは、ほとんどこの時代にのみ作られています。
本作品は、屈輪(ぐり・倶利)模様の形に、
肩と頸、小さな取っ手(耳)をつけた小さな扁壷。
小さいながら細かな文様がくっきり陽刻されています。
屈輪をアレンジして唐草模様を取り入れ、
花模様と寝かせたSで、中を装飾し、
肩部分に七宝文が3つ。
よく見ると、Sと七宝文は1本の線で表わされているのではなく、
細い輪郭を成型して、その細い内側に一段凹みがあるんです。
なんという手の込んだ仕事!
伊万里の職人の作品制作に懸ける熱量の大きさが伝わります。
底は約2,2 ×2,7㎝の楕円で、施釉されていません。
自立し、頸の内径が7㎜ありますので、
菅蓋を誂えて、振出とされるのも素敵でしょう。
薄いので、小さな茶籠・茶箱にも合うと存じます。
この形は、清朝で流行った鼻煙壺を模しているのかな。
無疵・箱無
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超絶に細かな陽刻を是非ご覧ください
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