本紙 132,6 ×56,8㎝
軸装 201 ×62,5㎝
紙本

中国初唐の詩人・宋之問(そうしもん)の五言律詩

金閣妝僊杏 瓊莚弄綺梅
人間都未識 天上忽先開
蝶繞香絲住 蜂憐綵艶廻
今年春色早 應為剪刀催

の最初の二句です。

清朝康熙帝の勅撰・編纂の「淵鑑類函」立春五
に収められています。

金閣・豪華な楼閣
妝・装おう
僊杏・仙人の食べ物
瓊莚・宴席の美称
綺梅・美しい梅花

中国ではお花見の花は梅。
「弄」は鑑賞するの意もありますので、
豪華なお屋敷に眩い調度を設え
御馳走の並ぶ豪華な花見の宴席の様子でしょう。

大雅は、
豪快な太筆で書いています。

「金」は、縦約28㎝。
太く力強い屋根。
擦れがないのはこの文字だけ。
他の勢いあまる激しい書の動きを
上からぐっと抑えています。
所々、力が入って、墨が紙に皴ができているほどです。

250年以上の年月を経た今に
大雅の感動が伝わってきます。

よほど素晴らしいお花見に招かれた大雅の
感激の一幅と私は考えます。
素晴らしい作品です。

款記「橆名/ありな」

「弎岳道者」白文方印
「池橆名印」白文方印
「前身相馬方九皐」長方朱印

「弎岳道者」白文方印は、
款記によって制作年がはっきりした作品では、
41才宝暦13年で最初に使われ、生涯使われた印章。
池大雅作品集(昭和35年美術出版)収録の811作品中、78点に捺されています。

「池橆名印」白文方印は、
「杯渡尊者図」(田部美術館蔵・33才頃の作品と考えられています)に捺されたのが、一番若い時期で、
最晩年まで使われました。

「前身相馬方九皐」長方朱印は、
30才代後半から使われ始め、やはり生涯使われた印章。
上記作品集中、145作品に捺された、
最も使用頻度の高い印章の一つです。
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折れ、傷みを修復しましたため、
跡がございます。
「僊」の字の一画目に後から細い墨線が入っていますが、
鑑賞に問題ありません。
軸装にも、修復痕がございます。

時代箱付

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「僊」一画目加筆部分

本紙修復痕

軸装上部コンディション

軸装下部修復痕

巻き留め貼紙

時代箱

池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵 他

京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲と並ぶ人気アーティスト。
白山・立山・富士山の三霊山に登ったことから
「三岳道者」と号しました。
一緒に旅した、韓天壽、高芙蓉も同じく
「三岳道者」と名乗っています。
本当に仲が良かったんですね。
20代の時にすでに名声が高く、
旅が好きで日本各地を旅したため、
日本各地に大量に偽物が存在しています。
近世の絵師で、
国宝・重要文化財に指定されている作品の最も多いことは、
現在ではあまり知られていません。

川端康成、梅原龍三郎、谷川徹三ら
一流の文化人、画家たちも大雅に魅了され、
その作品を愛藏されていました。
国宝に指定されている「十便十宜図」は川端康成さんの旧蔵品です。