本紙 / 150× 35㎝
軸装 / 200× 48,5㎝
絹本墨画

日根対山
1813(文化10)~1869(明治2)
現在の大阪府泉佐野市生まれ
師は岡田半江、京都で貫名海屋に学んだ人

日根対山が、張瑞図の山水画を写した作品。
右下の落款《中盛》は
対山の別号です。

元の画の作者・張瑞図は中国明時代末清初の人。
身分の高い政治家でした。
中国では書・画・詩が上手くないと出世できなかったので、
画、書、詩作においても、
芸術性の極めて高い方ですが、
政治を乱し、明が滅亡に至る原因ともなった
魏忠賢との深い関わりのため、
魏忠賢が失脚した時に、一緒に弾圧され
身分を失った人です。
そのため、中国本土では長く評価されませんでした。

一方、日本では
張瑞図の別号《二水》のためでしょうか、
瑞図の作品を持っていると「火事に合わない」の民間伝承が生まれ
とっても人気があったのだそうです。
瑞図の弟が、当時の最先端文化の輸入の窓口であった黄檗僧と親しく
江戸時代の日本に、
瑞図の作品がたくさん入ってきたのだそうです。
(現在は中国市場でも非常に高い評価を回復しています)

古来、中国の文化は日本人の憧れ。
大雅も、若冲さんも、応挙さんも
みんな中国の書画を臨摸し、腕を磨いたんです。

日根対山も親しいお金持ちの所有する中国絵画を臨模して
腕を磨たんですね。
右上の《跋/書の部分》は
張瑞図の文字をそっくり写し、
印の部分は朱で手描きしています。

お手本であろう、この作品と全く同じ図の張瑞図の作品は
静嘉堂文庫美術館に収まっています。
国の重要文化財に指定されている作品です。

ところが
静嘉堂文庫美術館の作品は
画は全く同じでも、跋の部分が全く違うんです。

静嘉堂文庫美術館作品の跋の部分を
円山応挙さんが、写しています。

応挙さんの写生帖「写生雑録帖」(個人蔵)の中に
記載されて残っているんです。

という事は

全く同じ図の張瑞図の作品が
二つ存在していたのだと考えられます。

貴重な摸本です。

本紙に汚れがあります。
時代箱付

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