本紙 110 ×37㎝
軸装 183 × 49,7㎝
紙本墨画
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三人の童子と鶴を伴った南極老人。
水分をたっぷり含んだ太い単純な筆致で描かれます。
お鬚と鬢は、極々細い筆跡で柔らかく表現されています。
「寿星」とも表わされ、
南極老人星を神格化した神様。
中国では古来、この神様が現れると天下が治まるとされ、
鹿をお供に連れ、
寿命を記した巻き物を持っています。
本作品では、巻き物は童子の一人が持っていますね。
幅=福
鹿=禄
長命の象徴としてもありがたい神様です。
七福神でいうと、寿老人と福禄寿を兼ねています。
福が2倍です。
出光美術館ご所蔵の
【寿老四季山水図(五幅対】は、
延宝11年(1761)、大雅38歳の作品で、
五幅の、中心の一幅に、
樸童と鶴を伴った南極老人が描かれます。
切れ長で下がった目尻、
細い細い毛足の垂れた眉、
こんもりと柔らかな口髭など、
非常によく似た表情です。
長い杖に、亀の甲羅のようなものが付いているところも
その杖を童子が持っているのも同じです。
細かい線を排して、
太く大らかな筆だけで描いた筆致、
老神の目が太い薄墨で表わされていること、
鬚の描写などから見て、
出光作品より後、
円熟期の作品に思えます。
落款の
《九霞山樵写》の書き方は30歳代後半の姿で、
そうすると、出光作品と同時期です。
この後ろで踏ん張ってい居る眼付きの悪い鶴は、
旧池大雅美術館コレクション作品(京都府蔵)にも表れます。
《霞樵》朱文連印
弊店が入手してから
修復仕立て直ししてございます。
本紙に傷み、皴、汚れがございます。
画像でご確認ください。
時代箱付
¥495,000
消費税・送料込
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池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵・九霞、他
京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲と並ぶ、大人気アーティストです。
20才代ですでに名声が高く、
旅が好きで日本各地を旅したため、
日本各地に大量に贋物が存在しています。
近世の絵師で、
国宝・重要文化財に指定されている作品は大雅が最も多いことは、
現在ではあまり知られていません。
文化庁にも数多くの大雅作品が収蔵されています。
川端康成、梅原龍三郎、谷川徹三ら
一流の文化人、画家たちも大雅に魅了され、
その作品を愛藏されていました。
国宝に指定されている「十便十宜図」は川端康成さんの旧蔵品です。

大きな修復痕

差し箱(スライド式の蓋・手の込んだ指物の箱)