本紙 33 × 46㎝
軸装 120 × 58,1㎝
紙本

池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵・九霞、他

京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲と並ぶ、大人気アーティストです。
20才代ですでに名声が高く、
旅が好きで日本各地を旅したため、
日本各地に大量に贋物が存在しています。

近世の絵師で、
国宝・重要文化財に指定されている作品は大雅が最も多いことは、
現在ではあまり知られていません。
文化庁にも数多くの大雅作品が収蔵されています。

川端康成、梅原龍三郎、谷川徹三ら
一流の文化人、画家たちも大雅に魅了され、
その作品を愛藏されていました。
国宝に指定されている「十便十宜図」は川端康成さんの旧蔵品です。

□ □ □

二月朔日
お稽古始
松知春

常盤木のまつは〇〇を お○ゝへく
はるとそふかむ 庭の松かえ
〽すえとをき
敷島の さかえを見せて 〇ひことに
〇ふ〇みともの 松のかとの葉

大雅の奥さんの玉瀾の祖母・梶は、
八坂神社のそばで茶屋を営み、
冷泉家に和歌の手ほどきを受け、
歌集「梶の葉」を出版するほど有名な歌人です。
母の百合も、文芸に秀でた人だったといいます。
(美人としても有名でした)
玉瀾も冷泉家に出入りして、
和歌を学んでいたことが「近世畸人伝」に記されているそうです。
大雅も一緒に冷泉家で歌の稽古をしてもらっていたことは、
容易に推測されます。

本作品の箱の蓋裏には、
大雅の門人・青木夙夜の筆で、
「冷泉為村卿御点」
と書かれています。

作品の中ほどに、
《 〽すえとをき 》
と後から加筆された部分がありますので、
ここが、為村卿の加筆部分でしょう。
冷泉為村卿は、上冷泉家15代の御当主(正徳2年/1712~安永3年/1774)。
大雅が直接手ほどきを受けた、貴重な作品です。

箱書きした夙夜は、玉瀾が亡くなった後、
夫婦の住んだ真葛ヶ原に、大雅の遺品を守り伝えるための大雅堂を建てた、
大雅を慕う門弟の中心人物の一人で、大雅堂初代堂主。
「大雅堂夙夜蔵」
とありますので、大雅か玉瀾に直接もらったのかもしれません。

大雅の自由な筆致の文字は、
判別ができない部分が多く、
古典の書を学びに学んで、独自の書世界を持つに至った大雅の、
歌の姿です。

テーマの「松」の文字が、
どれも太字で書かれていて、
それが主題だと、全部読めなくとも印象でわかるのが面白い。

最後の行の「ふ」の字はやたらと横に張り出して、
細い筆ながら自由奔放。
楽し気です。

本紙に傷み折れがございます。
軸装にも少し傷み、塗りの軸先にも僅かなキズがございます。
箱に欠損部分と接着剤で修復した跡がございます。
画像でご確認ください。

¥275,000
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(税抜き ¥250,000)

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池大雅和歌,冷泉為村加筆

 為村卿加筆部分