約22,3 ×16,7㎝四方
高さ 約3,1㎝
平福百穂原画

馬越化生
本名・恭平
弘化元年(1844)~昭和8年(1933)

号の化生(けしょう)は、益田鈍翁さんの命名です。
鈍翁さんに見いだされて部下となり、
その卓越した商才・人柄で、三井物産を繁栄させた立役者の一人。
その後日本麦酒会社を経営。
大日本麦酒会社として大繁栄させ、「日本のビール王」と呼ばれた豪傑です。
鈍翁さんの次弟・克徳さんによってお茶に入り、
素晴らしい茶道具・美術品を蒐集され、
遠州蔵帳茶入「螢」・中興名物茶入「田村文琳」、
「河村蕎麦」・「柿の蔕」茶碗、大燈国師墨蹟等々の名品を所有されていました。
明治中葉から昭和の初め、
日本経済を牽引した経済人数寄者の主役のお一人です。

守屋松亭 /もりやしょうてい
明治23年(1890)~昭和47年(1972)
鈍翁さんご贔屓の蒔絵師。
塗は喜三郎(渡辺)、蒔絵は松亭が定番です。

平福百穂 /ひらふくひゃくすい
明治10年(1877)~昭和8年(1933)
川端玉章に四条派を学び、京都で活躍した日本画家。

硯の蓋いっぱいに、7本の立派な松が描かれます。
極々細かな金の粒子が、あえてはっきり残される超絶技巧の蒔絵。
松亭でなければできない表現です。
右下に「辛未五月 百穂寫」とあり、
昭和6年(1931)年に下絵が描かれたことがわかります。
右下に若松が一本生え、伸びていこうとしていて、全部で8本。

蓋を返すと、蓋裏に
「壽 八十八爺 馬越化生」
と金蒔絵されています。

88を表現するのに、八本の松。
「松」は、おめでたいことの象徴であることに重ね、
旁に「八」の字が入っていますので、判字(はんじ)のあそびがいれられているのかな。
一本は若く生えたての木が描かれることで、
「伸びしろがあります」
の気持ちも、表わされていますね。
化生の米寿祝いの祝賀が今に伝わります。

化生は豪胆・奔放な方であったそうです。
その伝説がうなずける、無駄のない豪快な「壽」の書。
右上がりで潔い大胆な書姿。
素晴らしいお手です。

硯箱の材の厚さは2㎜以下。
とても軽いです。
小さな疵部分から、胎を見ると、
紙素材を固めて成型されているようです。

硯は、右の側面が一度割れて、接着された跡がございます。
水滴は黄銅です。

旧蔵者に愛玩されたとみえ、使用痕が散見されます。
小さなアタリや底の擦れはございますが、
大きな疵はありません。
画像でご確認ください。

共箱の蓋裏に、
「昭和七年春 松亭作」
と墨書きされています。
箱の蓋表にも汚れがございます。

¥132000
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守屋松亭作 馬越化生硯箱

 

 

守屋松亭作 馬越化生硯箱

    
水滴/ 上・横・裏

 
欠け接着部分、外/内
  
小アタリ
 
裏面
  
擦れ・経年による曇り