口径 約12,7㎝
高さ 約6㎝
底径 約4,5㎝
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加藤静允(かとうきよのぶ)
昭和11年(1936)~
京都の人
小児科医をしながら、陶芸・絵・文筆をよくする
白洲正子さん、柳孝さんらと親しく交友
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茶碗の外側には粉引釉がたっぷりかけられています。
高台を隔てて内外にまたがって釉薬の切れた部分から
強いこげ茶色の地肌が覗いています。
内側は、薄く、重ねて掛けられた釉薬によって、
優しい景色になっています。
しゃぼん玉とか、水面の波紋を思わせます。
箱の蓋甲に、遊びある加藤先生の字で
「粉引茶碗
小児医 静允」
蓋裏に
「銘 砥草」
と書かれています。
なぜ砥草なのかな。
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以前、加藤先生のとても若い時からのご友人が、私に加藤先生の作品をくださった時、
それは、そのご友人が、加藤先生からもらった作品で、裸でした。
箱を誂え、そのご友人経由で、先生に箱書きをお願いしました。
「自分の作品に良い箱を誂えてくれて感謝します」旨と、
「自分の愉しみの燃えがらなので、お礼はお断りです。」旨の一筆が同封され、
しかも送料は先生の元払いで箱書きされた箱を返送くださいました。
申し訳なくなるほどの、
お金の清潔さと、「作品は自分の愉しんだ燃え殻」と
(言葉は違ったかもしれませんが、意味はあっていると思います)
ご自身は陶芸家ではなく、遊びで作った認識を貫く姿勢。
だから必ず箱書きに「小児医」と書かれる。
私は、取りつく島のない高潔な何かに、圧倒されました。
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小振りでとても可愛い茶碗です。
内側の丸い景色は満月に、
裏の釉薬の掛からない部分を、三日月に見立てているのかな。
月といえば兎、
兎といえば砥草、の連想でしょうか。
白い釉薬は柔らかく、
白い兎を連想させます。
¥110000
消費税・送料込
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