本紙 約31 ×62,8㎝
まくり(軸装されていない紙の状態)
紙本淡彩

膝に琴を抱えて座る高士と後ろに控える童子が、
横長の画面に描かれます。

ゆったりと座して、穏やかな表情の高士。
全く迷いのない筆致です。

長い眉毛や髭は、
筆先の毛一本一本の筆痕によって見事に表現されています。
乗せられた青墨によって、立体感が出ています。

人は、年を取ればとるほど、
顔やたたずまいに、人柄、精神の深さが現れますが、
大雅は、
高士の精神の崇高なこと、それを剥き出しにしない悟り、優れた人間性を、
最小限の筆で見事に描き出します。

「おまえさん、そんなに悩まなくていいよ」
そう語りかけてくれているようです。

童子は童子で、
這っている虫でも見ているのでしょうか。
心の休まる可愛い姿です。

目元、口元、耳、胸元にほんのり朱が施され、
温かな人肌が伝わります。

「九霞山樵写」
真っ黒な上質な墨で款記されます。
「九」が小さく「霞」が縦に長くて遊びのある、
「山」を2画で書く書き方は、
30才代後半~40才代前半に多い款記の姿。

「池橆名印」白文方印
「弎岳道者」白文方印
30才代後半から使われ始め、40才代で非常に多く使われ、
50才代、最晩年まで使われた印章です。
重要文化財「東山清音帖」にも使用されています。

関防印「前身相馬方九皐」 朱文長方印は、
30才代半ばから、上記白文印と同様に最晩年まで、非常にたくさんの作品に捺されています。
やはり、重要文化財「東山清音帖」にも使用されています。

全体に折れがあり、
落款部分近くに傷み修復部分、シミなどがございます。
画像でご確認ください。

屏風に貼られていて、本紙だけ切り取られた作品です。
紙だけの状態ですので、お好みで軸装されるのも楽しいと存じます。
額に入れることもできますね。

¥60000
消費税・送料込

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池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵・九霞、他

京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲と並ぶ、大人気アーティストです。
20才代ですでに名声が高く、
旅が好きで日本各地を旅したため、
日本各地に大量に贋物が存在しています。

近世の絵師で、
国宝・重要文化財に指定されている作品は大雅が最も多いことは、
現在ではあまり知られていません。
文化庁にも数多くの大雅作品が収蔵されています。

川端康成、梅原龍三郎、谷川徹三ら
一流の文化人、画家たちも大雅に魅了され、
その作品を愛藏されていました。
国宝に指定されている「十便十宜図」は川端康成さんの旧蔵品です。

池大雅筆琴士童子図
「池橆名印」白文方印
「弎岳道者」白文方印
「前身相馬方九皐」 朱文長方印
裏面
    
裏面仔細