縦 約24,9㎝
横 約22㎝
高さ 約5,5㎝
(いずれも一番膨らんだ部分)
江戸時代後期~明治初期
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箱を上からも見た時に、縦横のラインが膨らんだ《胴張り》で、
甲(蓋上)が盛り上がった、
胴張・甲盛(どうばりこうもり)の器形。
この形の硯箱としていちばん有名なのは、
国宝・本阿弥光悦作「船橋蒔絵硯箱」でしょう。
造形的に見事なだけでなく、
真っすぐな線でできた箱に比べ、アールを描いた辺の箱は、
制作技術が、圧倒的に難しい。
職人の高度な技術力を必要とし、格段に手間のかかる形です。
国宝の熊野神社の箱など、古い時代の形です。
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仙人の持った瓢箪から、馬が飛び出してきました。
馬は、厚みのある青貝で表現されています。
ピカピカ輝き、寶物を表すにまさにぴったりの素材。
瓢箪から出る異界の空気は、極く細かな梨地で表現されています。
大胆に省略されアールのかかった仙人の衣の輪郭は、こんもりと盛られた金蒔絵。
面は、錆塗りでしょうか。
ホクホク顔の仙人の輪郭も、太い筆致・高さを持たせた金蒔絵。
頭部は金属の板を切り出して貼り、
お髭は金銀のグラデーションが施されます。
単純なラインで表わした絵に、
実に様々な装飾技術を盛り込んでいます。
箱内の左側に、硯と水滴を納めた嵌めこみ式の板が備わっています。
水滴は黄銅製。
蓋裏は黒漆。
他は潤(うるみ)色。
内側に装飾がありませんので、実際にご使用いただくのにも適しています。
筆を持つのが楽しくなるお品です。
目立つ疵はございません。
誂え無地箱
¥200000
消費税・送料込
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嵌め込み板裏面/ 硯/ 水滴
内容物を外した箱内側/ 箱裏面
蓋内面
箱外観/ 裏面