本紙 約135 ×49,5㎝
軸装 208 ×68,5㎝
紙本
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楷書で書かれた84文字。
かなり大きな作品です。
「西嶽蓮華峰江山雪霽」は、浄土のある西方の山々が冠雪した美しい姿、
「蘭菊桂花紫芝翠竹図」は、花々や植物の図ですね。
「薯蕷(やまいも)」「木耳(きくらげ)画」などの文字も見えます。
「来観者」「一笑」「近院壁」「絶妙」
などの文字から、山水や花々・植物など様々なモチーフの描かれた、
どこぞの寺院の障壁画を賞賛して書いた一幅と思われます。
ですので、款記も
「池橆名」と姓名を記し、
「識」と書いています。
「私が見て(良い作品と)認識しました」ってことです。
「宝暦甲申」年は宝暦14年(1764)。
6月に明和に改元された年。
仲春なので、旧暦の2月、大雅42才です。
印章は、
「池橆名戴成印」白文方印
「九霞樵者」白文方印
この二つの印章は、ほとんどいつもペアで捺されます。
款記によりわかっている一番早い作品は、40才の時に描かれた《画式四種》。
40才代作品に数多く捺され、最晩年まで使われています。
書作品として書かれていませんので、
派手な見せ場はないのですが、
それだけに、大雅の書の芯部分がストレートに伝わる作品です。
紙に載った、とても上質な真っ黒な墨。
見ているうちに一文字一文字が躍り出て、浮遊しそうに生き生きとしています。
朗らかで優しい、主体性のはっきりした書です。
大雅は、自身の作品にあまり制作年を書き込んでいません。
池大雅作品集(昭和35年中央公論美術出版)に掲載された811作品の内、
款記に制作年が書かれているのは87作品。
全体の10,7%です。
画作品は、若い時から年を追って変化の見られる大雅ですが、
書に関してはかなり初期から非常に円熟した腕を持っていた大雅。
本作品は、制作年のはっきりした貴重な書と存じます。
本紙のコンディションが良くありませんので、
格安に提示させていただきます。
時代無地箱
¥125000
消費税・送料込
コンディション仔細
唐木軸先
裏面
掛け軸よりも箱が大きいです。軸装し直した時に幅を詰めたものと推測されます
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池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵・九霞、他
京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲と並ぶ、大人気アーティストです。
20才代ですでに名声が高く、
旅が好きで日本各地を旅したため、
日本各地に大量に贋物が存在しています。
近世の絵師で、
国宝・重要文化財に指定されている作品は大雅が最も多いことは、
現在ではあまり知られていません。
文化庁にも数多くの大雅作品が収蔵されています。
川端康成、梅原龍三郎、伊東深水、谷川徹三ら
一流の文化人、画家たちも大雅に魅了され、
その作品を愛藏されていました。
国宝に指定されている「十便十宜図」は川端康成さんの旧蔵品です。