胴径 約7㎝
高さ 約14,1㎝

初代真葛香山
天保13(1842)~大正5(1916)
本名/虎之助
香山の父・長造は楽焼を生業として、青木木米の元で学んだ人。
長造は、当時跡取りのなかった木米と(長造に)子供が生まれたら木米の跡取りにと、約束を交わすほどの強い絆でした。
父長造や兄達亡き後、虎之助は紆余曲折を経て、横浜に窯を移し、
明治6(1873)のウイーン万博に出品するため、
焼き物の表面を盛り上げて、蟹や鳩などの小動物を立体的にリアルに表現する装飾陶磁器を制作。
高い評価と爆発的な人気を得ます。
明治9(1880)、フィラデルフィア万博で、大賞を受賞。
明治の装飾工芸を代表する、陶芸家の一人。
帝室技芸員。

徳利の口がかなり大きく開いています。
絵付けされているのは罌粟の花。
開いた花の意匠のために、口は大きく、
花の姿が際立つ三角に形作られています。

香山自身の筆で、箱の蓋裏に
「乾山写」と書かれていますが、
私には、宗達の絵に見えます。
葉っぱは墨で垂らし込みの滲みのようにゆらゆらと描かれ、
金彩で葉脈が現わされます。
いずれにせよ、琳派にインスパイアされたのだと
直覚できます。

底に近い非常に下の位置に、
四角で囲って化粧土を施した上から、鉄釉で「香山」と銘をいれています。

香山は乾山を意識して、「山」の一字をもらって「香山」と名乗ったのだと、
この作品を見てわかりました。
更に、この描き銘の脇の部分の釉薬は、
ほんの僅かだけ底に近い位置からから掛けないラインを上に上げて、
土見せを広くし、
その部分に「真葛」の印銘を捺しています。
香山は抜群にセンスがいい!
この印は明治中期から昭和34年までの使用印です。

口縁には金彩が施され、
罌粟の花は銀で輪郭をひいています。
この辺りも、琳派の影響が強く表れているといえるでしょう。
デザイン性高く大胆に省略され、化粧土で白く盛られた花の描きようと、
情緒豊かな葉の表現、
茎の美しい透明な緑のライン。
乾山をそっくり写した銘の入れ方。
秀逸な作品です。

香山は明治29年(1890)に帝室技芸員を拝命。
本作の箱の蓋裏に「帝室技芸員」朱文長方印が捺されています。

立体的な彫刻を作品の表面に表す「高浮彫」作品で、
世界の万国博覧会で、絶賛された香山が、
琳派に深く傾倒していたことがわかる興味深い作品です。

一対の内、片方は口が欠けて修復してあります。

二重箱

¥132000
消費税・送料込

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真葛香山作乾山写酒瓶

 






直し部分

印銘部分
内箱
 
内箱蓋表/ 裏



外箱の蓋裏、桟が1本欠損しています