縦 約35,7㎝
横 約33㎝
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神坂雪佳
(かみさかせっか)
慶應2年(1866)~昭和17年(1942)
京都生まれ。
四条派の日本画を学び、装飾芸術の道に。
琳派に傾倒し、琳派の技法を取り入れたモダンな作品の図案を手がけました。
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極上の絖(ぬめ)に、美しい小さな花束が散らされています。
所々に金泥をこんもり載せています。
キラキラ光る花束が、空から降ってくるようです。
箱の蓋裏に「雪佳案」と雪佳の肉筆で書かれています。
蓋表は「華繍」。
これも雪佳の墨書き。
表に華を描き、裏は刺繍の意でしょう。
素敵なネーミング!
掛袱紗は、
お祝い事で贈り物をする折に、お祝いの品に掛ける覆いのこと。
婚礼や長寿のお祝い、節句季節の挨拶など、伝統行事・祝事に誂えた
贅沢さを競った格調高いお品です。
本作品は、絹の中で最高に高価な絖(ぬめ)が使われています。
裏は朱に染めた絖に、金糸・錦糸・紫の糸で、蜀江模様が刺繍されています。
模様と模様を繋ぐ線は直線でなく揺らぎが与えられ、
その隙間にも、後ろを通る線の姿が刺繍される凝りようです。
もちろん、線で囲われた菱型の中にも、それぞれ違う細かな地紋が刺繍されます。
最高の職人が、これ以上なく手間をかけた極上の仕事です。
四隅に、五色プラス金糸のフリンジ。
ものを贈る際にもひと手間かけ、
贅沢な掛け物で覆ってしつらえる。
日本の美しい伝統文化です。
江戸時代前期は、武家の習慣でしたが、
後期には富裕な町人にも普及した掛袱紗。
いかに素敵な、豪華なお品を誂えるかは、富裕層の愉しみであったことでしょう。
東京国立博物館にも、掛袱紗のコレクションが収蔵されています。
雪佳は図案家でしたので、様々な日用品のデザインを手がけ、
それらの多くは量産されていますが、
本作品は手描きの一点もので、類品は確認されておりません。
作品には、専用の布団と包布も誂えられています。
お品の四辺に僅かな汚れがございます。
ほとんど目立ちません。
ご確認ください。
共箱・タトウ紙(帙)付
¥250000
消費税・送料込
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裏
袱紗の布団
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雪佳案 「吉隆之印」(雪佳の本名)
箱甲
箱内に昭和25年の新聞紙/ タトウ(帙)はかなり汚れています。破れ有り