約5,5㎝四方
高さ 約3,2㎝
江戸時代前期

蓋甲と4つの側面に一頭づつ馬が金蒔絵されています。

かなり厚く金紛が蒔かれ、蒔き残すことで体躯を表します。
この時代の馬は日本産種で、
現代のようなアラビア種でないために、頭が大きい姿をしていますね。
それぞれに躍動感があり、生き生きとしています。
眼が可愛い!
金に銀をまぜた「青金/せいきん」の部分もあって、
かなり凝った蒔絵表現です。

現代の、多くの男性が車に夢中になるのと同じように、
良い馬を持つ、良い馬に乗ることは江戸時代男子垂涎のステイタスシンボル。
愛情を注ぎ心を通わせる相棒でもあり、馬は特別な存在でした。

蓋甲は、駿馬の背景に金銀の遠山が描かれ、
手前の土坡は銀が厚く盛られ、金切箔が施され、草が金で付描きされています。
金で描かれた小さな木の根上りの姿、繁った葉っぱの表現のなんと繊細なことか!

側面の駿馬たちの立つ土坡は、極く細かな梨地です。
金銀切箔が施された豪華な漆芸装飾です。

内側は梨地蒔き暈し、底裏は梨地。
一段目の底裏は梨地の色調が明るく、二段目と変化をつけています。
もの凄い気の遣いようです。

材は貴重な唐木です。
地肌が真っ黒なのは、着色でなく木材そのものの天然の色。
非常に硬く、加工するためは修練を積んだ高い技術力が必要です。
その唐木素材の全ての辺に几帳面を施した、極上の姿に作られています。

重香合は四段のものが多いですが、本作品は二段。
一段目の底には周囲に重ねるための凹みが設けられ、
二段目はすっかり平らであること、
側面の絵が二段繋がって完結していることから、
始めから二段で作られたお品です。

唐木は性質上、年月が経つと反ってきます。
本作品の蓋は反り、
箱の四方の接合面は切れが生じています。
下段内側に、唐木から漆が欠落した部分がございます。

極上の仕事、時代の味わいを愛でてくださる方に。

時代箱

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時代馬蒔絵重香合


時代馬蒔絵重香合
内側と蓋甲
時代馬蒔絵重香合
内側
時代馬蒔絵重香合
側面の接合の状態と傷みのきつい箇所
時代馬蒔絵重香合
裏面
時代馬蒔絵重香合
蓋裏にも傷み有り
時代馬蒔絵重香合 時代馬蒔絵重香合

時代馬蒔絵重香合
蓋の反り
時代馬蒔絵重香合