本紙 131 ×31㎝
軸装 195 ×62,6㎝
紙本墨画

塩川文麟
しおかわぶんりん
文化5年(1808)~明治10年(1877)

幕末の京都を代表する絵師の一人
京都・安井門蓮華光院門跡とつながりの深い家系
後に、同門跡お抱え絵師となる
岡本豊彦(呉春門下/1773~1845)門

皇女和宮の将軍家輿入れの際、
文鱗が手鑑(てかがみ)として近江八景を制作したそうです。

大胆な構図です。
象の大きな姿を前から見て、左目を中心に切り取って描いています。

対象物の周りに薄墨を刷くことで形を現す外隈(そとぐま)の技法。
外隈は、紙の白さを際立たせることで、対象物の白さを、
輪郭をはっきりさせないことで対象物の柔らかな質感を伝えます。
積もった雪を表す時によく使われますね。

象は柔らかくありませんが、
こんもりとしたイメージと神秘的な空気感を、視覚化しています。
優れた表現力です。

この、外隈と細い目の象を見て、すぐに
伊藤若冲の「象と鯨図屏風」(MIHO MUSEUM蔵)を連想しました。
若冲の象の図もとても大胆な構図で、屏風の右隻に象の体全体を真横から描いています。
(屏風なので画面が大きいんです)

文鱗は大きな象を大きなスケールのまま、
細い縦長の掛け軸に入る分だけ切り取って描いています。

それにしても強い目です!

塩川文鱗といえば、
水辺に舞い飛ぶ、螢を描いた絹本作品が代表作。
京都の古美術商のウインドウの初夏の定番。
暗い水辺を藍色をふんだんに使って描き、繊細な筆でたくさんの螢が舞う図です。

そのような繊細で濃密な作品だけでなく、
本作品のようなデフォルメされた画も描けたんですね!
大胆で、軽快で、オシャレな作品です。

白象は、普賢菩薩を乗せる霊獣であり、
摩耶夫人が釈迦を受胎した時に夢に現れた生き物。
神秘的な物語の中に語り継がれ、
庶民の心の中にほとんど空想上の生き物として存在していたのだと思えます。

おめでたいシチュエーションにも、
仏教的なしつらいにも、重すぎずに使っていただける作品と存じます。

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塩川文鱗筆 白象之図

塩川文鱗筆 白象之図

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塩川文鱗筆 白象之図

塩川文鱗筆 白象之図 塩川文鱗筆 白象之図