胴径 約8㎝
高さ 約7,9㎝
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三代中村宗哲
元禄13年(1700)~安永5年(1776)
ご存じの通り、千家十職の塗師の職方。
覚々斎・如心斎の信を得、
当時の千家好み棗の制定、型棗を作りました。
蕪村とも親しかったそうです。
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庸軒好凡鳥棗は、初代宗哲(1617~1695)作がオリジナルです。
藤村庸軒(ふじむらようけん・慶長18/1613~元禄12/1699)は、
千家三代・宗旦の高弟。
初代宗哲がその好み作品を多く作っています。
《凡鳥棗/ぼんちょうなつめ》の「凡鳥」は、
「鳳凰」の「鳳」の文字を、外側と内側にバラバラに解体してできる言葉です。
鳳凰の住処である桐が、象徴として甲に蒔絵されます。
庸軒は、漢学・和歌にも精通した風流人であったそうです。
洒落た名前をつけていますね。
外側は刷毛目塗。
東山時代の塗師・五郎が得意としたことから「五郎塗」と呼ばれます。
本作品の箱の蓋裏に
「此凡鳥棗以
利休形宗哲
造依五郎塗
庸軒好之
丁卯
庚申今中村
又写之」
此の凡鳥棗は、
利休形で、庸軒之の好む五郎塗に依って宗哲が貞享4年(1687)に造った。
元文5年(1740)現在の中村(宗哲)が又、之を写す。
と墨書きされています。
お品の盆付の内側に「哲」書き銘有り。
箱の底に「塗師 宗哲」墨書きと印。
サイズも塗り方も、
オリジナルを忠実に写しています。
棗としてはかなり大きいのですが、
刷毛目があることで、のっぺりとせず洒落た佇まいです。
桐文はきりっと直線的。
285年前に施されたと思えない、
手の切れるような蒔絵です。
お品の、蓋・身の下にほんのわずかなアタリ有。
他に擦れや小難がございます。
出来ればお手に取ってご確認いただきたく存じます。
内側にも擦れがございます。
箱の上部に虫食いがございます。
《お買い上げありがとうございます》
小アタリ
擦れ
底に「哲」漆書銘
内側・擦れ
蓋裏
箱表
箱蓋裏
箱裏墨書銘
箱の虫食い