約27,2㎝四方
高さ 約3,6㎝
□
方形の面を稲妻形に斜めに切って、
左下半分に古更紗の模様が蒔絵されています。
絹糸のように細く金で輪郭を引き、
花弁に銀彩を施した、左右対称の花束形のモチーフが縦横に並べられています。
模様は、縁の側面にも施されています。
精緻な模様を施した、超絶な蒔絵技巧です。
地に施された朱漆の赤が深く複雑です。
エキゾチックな赤。
お手本にしたのは、きっと古渡の、異国の更紗なんでしょう。
空間に金の切箔がランダムにちりばめられています。
全く違う二種類の文様を、斜めに切った画面で合わせる片身替のデザインは、
桃山時代に着物の柄として大流行!
漆芸など、他の工芸品にも取り入れられました。
高台寺蒔絵に多く使われています。
お洒落で、粋で、大胆。
裏面は伝統的な梨地。
表裏に全く違う意匠が取り入れられているのも面白い。
硯蓋は、通常は側面は垂直に立ち上がっています。
「硯箱の蓋みたい」な器物ゆえのネーミング。
垂直でないと蓋は閉まらないですもんね。
本作品は端反りした異形です。
よく見ると、底の裏面も平らではなく、
縁際1㎝程に浅い面取りを施して、更にわずかにアールがかけてあります。
非常に凝った造形です。
箱蓋裏に
「漆匠 長寛造」の墨書きと朱印長方印(判読不能)がございます。
江戸時代後期の京都の漆工・佐野長寛との関係は不明です。
箱の蓋もわずかに甲盛されていて、手が込んでいます。
時代を経た小アタリなどの小疵、
切箔の剥落、裏面に擦れ、引っ掻きなどございます。
ご確認ください。
共箱・時代タトウ紙
¥190000
消費税・送料込

□




裏面
アールのかかった面取

難一例


箱蓋表(紐が傷んでいます)/ 内側(虫食いあり)

時代タトウ紙


