長 約18,1㎝
変形櫂先・丸撓
逆樋・数樋
直腰・中節
二刀

水谷川紫山 / 忠麿
みやがわしざん・ただまろ

明治35年(1902)~昭和36年(1961)
貴族院議長・公爵近衛篤麿の四男。(兄は近衛文麿)
春日大社宮司・男爵水谷川忠起の養子となり、
華道御門流を再興。
貴族院議員を務め、陽明文庫の設立・運営に尽力。
春日大社宮司。
数寄者・文化人と茶の湯で深く交流しました。

非常に美しい茶杓です。

白竹から削り出された際(きわ)のエッヂがシュッとタって端正。
全身でわずかに「S」字を描いているので、キメキメ過ぎず揺らぐ空気があります。
エレガントですが、漆を拭かないので素朴な感じがします。

節部分に大きくついた芽が、
里山の茅葺屋根を連想させます。
銘の「山さと」はここからでしょうか。
節上に敢えて材の汚れを残して景色とした策士のセンス!
櫂先のアールも惚れ惚れです。

箱書き、筒書きのお手の美しいこと!
墨も黒々です。

蓋裏と筒の最下部右に花押が記されます。

また、
茶杓の下部、右側に、花押が彫り込まれています。
「紫山」の〈紫〉からできた花押のようです。
お兄さんの文麿さんより、こなれて、お洒落で上手い花押です。
(個人の見解です。)

由緒正しい貴族の家系の身に付いた教養、
茶の湯への造詣の深さの現れた茶杓です。

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水谷川紫山 忠麿作茶杓



水谷川紫山花押
花押の刻まれた部分

絹布付・箱の縁角内側に僅かに材の欠損部がございます