長 18,6㎝
剣先型櫂先・折撓
一本樋
直腰・中節
四刀
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高原杓庵
明治28年(1893)~昭和50年(1975)
本名慶三
大阪毎日新聞社で文化面を担当。
退社後白鶴美術館に勤務。
茶杓研究第一人者で権威。
昭和28年に私家版「茶杓三百選」を刊行。
現在も、茶杓を愛する人のバイブルです。
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その人の存命中の最後に書いたものは絶筆と呼ばれます。
それに倣うと、
本作品は絶杓ではないかと推測いたします。
総削りされた筒に書かれた筆が、ひどく乱れています。
筒書きも、箱の蓋裏の銘も款記も、
左へ左へと流れ、
うまく書けずに墨が竹を汚しています。
削られた筒の下端をさらに窄めるように削っているんですが、
攻め過ぎて穴が開いています。
茶杓そのものは素晴らしい出来です。
塊といった少しグロテスクな中節の始末。
その下の、むらむらと広がる黒い景色。
対照的に、折り曲げたことでひらっと優雅に広がった櫂先と、
見事としか言いようのない切り痕の切留が、
素晴らしいバランスで全体を格調高くまとめています。
さすが茶杓に人生を賭けた人の作った茶杓です。
自信作の茶杓に、
死の間際に筒と箱の次第を整えたといった作品。
総削りの筒、納得いくまで削った筒を誂えようとしたら、
やりすぎて穴が開いてしまった!
でも、もう一度作っていたら、墨書きできない状態になってしまう
切迫した状況だった、とか。
これは私の想像です。
「なにがなんでも、筒に墨書きせねば」
そんなパッションの伝わる墨跡です。
箱の蓋は僅かに甲盛の素晴らしい指物です。
上部にシミ汚れがございます。
¥90000
消費税・送料込
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弊店のモニターでは、この画像の質感が、目で見た感じに近いです
切留
筒
箱に汚れがございます