径 約7,5㎝
高さ 約3㎝
底径 約2,5㎝
江戸時代

どら焼きのように、縦から見ても横から見ても丸い形。
装飾面が高く盛られています。

うねうねとした水面を高蒔絵で表わした川をバックに、
馬上の貴公子が袖で雪を打ち払っています。
《新古今和歌集》藤原定家の
「駒止めて 袖うちはらふかげもなし さののわたりの雪の夕暮れ」
を表す図様です。

この図は、五島美術館が光琳作の硯箱をご所蔵です。
五島作品に描かれた貴公子は、
本作品と逆に、袴が青貝によって装飾され、衣は金蒔絵。
袴は、どちらも同じように金(銀)で丸紋を付描きしています。
本作品は明らかに光琳作品を写した意匠です。

馬は錫の板を貼った金貝の技法と思われます。
厚い金属板や貝を貼ることで生じる、地の器体との間の段差を強引に滑らかに繋げることで、
遊びある面白いフォルムになっています。

アール(丸み)がテーマの造形に、
主役の騎乗の人物も、背景の水の流れも、
規則性のない自由なライン。
器体の表面は、敢えて梨の肌のように細かな凹凸をつけ、
更に立体感、多様感を加えています。

金をたっぷり使った蒔絵の贅沢な雰囲気と、
自由奔放なモチーフの表現のバランスが素晴らしい作品です。
大胆な琳派表現に、
袴部分に施された細かな銀の付描き模様、履だけ派手な梨地が施されていることなど、
繊細な技法が混在していることにも痺れます。

内側は梨地です。
拡大して見ると、
黄金・白っぽい金・赤っぽい金の少なくとも3種の金粉が密に蒔かれています。

目立つ疵は皆無です。
合部分や底に、擦れがございます。

時代箱

¥200000
消費税・送料込

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時代東下り蒔絵香合
 

 

時代東下り蒔絵香合
内側
 
合/ 蓋裏
  
革紐が傷んでいます