径 約6,6㎝
高さ 約7㎝
底径 約3,2㎝
江戸時代

すっかり金色の棗にに2輪の笹百合が描かれます。

一輪は、甲部分に花を錫か鉛で金貝風に高蒔絵し、
もう一輪は、蓋と身を跨ぐように、側面に青貝螺鈿で表わします。
茎と葉は金高蒔絵。

非常に細い付描で葉脈を描くばかりでなく、
良くみると、一枚の葉の中でも高蒔絵で盛り上げずに凹凸をつけたり、
虫食いを現わしたり、
非常に豊かな表現です。

本作品と似た表現の漆器として、
「沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒」(重文・大和文華館蔵/伝本阿弥光悦)があります。
沃懸地に、青貝螺鈿・金貝・金蒔絵と
違う技法によってたくさんの鹿が大胆に描かれています。

沃懸地(いかけじ)は、
粒子の荒い蒔絵粉を隙間なく蒔いて漆で塗りこめた後、研ぎ出す
器体の地蒔きの技法です。
この技法の用いられた作品で一番有名なのは、
国宝・沃懸地浮線綾螺鈿手箱(サントリー美術館蔵/鎌倉時代)と存じます。
鎌倉時代に金粉の製紛技術が良くなったことで可能になった技法です。

本作品に戻りましょう。

本作品は沃懸地風にすっかり金で覆われた棗の器体に
たった2輪だけ描き、
金の空間を広く残した大胆なデザインです。
光悦蒔絵と呼ばれる、本阿弥光悦の元で制作された作品意匠を写しています。

内側と底はすっかり金色です。
底部の木胎が厚く成型され、
見た目よりも手取りが重いです。

金貝・螺鈿といった大きな異素材の金地との輪郭部分が、
少し雑にも見えますが、厚み(高さ)のある異素材との境目は、
本歌のミュージアムピースもこんな感じです。

小さな傷みがございます。
画像をご確認ください。

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光琳巻き写笹百合蒔絵棗   
スマホカメラの性質上、下部が窄まって見えますが、
光悦蒔絵写笹百合棗
この画像が現物のフォルムに近いです。
光悦蒔絵写笹百合棗  光悦蒔絵写笹百合棗



   
内/ 蓋裏/ 底
光悦蒔絵写笹百合棗 
どちらも同じ色で付描され、わかる人にだけわかる粋な意匠です。
ここは更に遊び心ある技法。
眼力のある方だけのお楽しみです。