本紙 約102×27㎝
軸装 約160 ×44,2㎝
紙本淡彩
□
一見して、「ああ、若いな」とわかる筆。
画面右側に迫り出る岩山の輪郭線は硬く、カクカクとしていて、
渇筆で施された皴(皴/岩肌の表現)は試行錯誤中の感じです。
遠山も、筆数多く、
書で云うなら打ち込みのはっきりした筆致。
後に円熟するにつけ、省略できる線をどんどん省いていくんだろうな、
と思わせます。
橋の下に岩石がたくさん描かれていて実写的。
これも、年を重ねると削られていくのでしょう。
若い大雅が、自分のスタイルを確立していく過程の作品であることを、
随所に感じる作品です。
緩く丸い橋、
馬に乗った高士、理屈抜きに明るい従者、
山の上の寺院の入り口の、ファンタスティックな楼門の色形。
このあたりの、大雅の天才的な表現感覚は、生涯変わっていませんね。
岩肌に無数に施された、藍と代謝(朱)でピッピッピッピッとうぶ毛のような筆痕と、
台地周りの点々は、濃い緑から紅葉する植物達です。
退色もありますが、とってもカラフル!
紅葉が始まった高い山の寺院に友人を訪ねていく高士のわくわくと楽しい気持ち、
山溪の空気の心地よさ、景色の素晴らしいことが、
見る者に強く伝わってきます。
珍しく、小さな隷書体で題が書かれます。
秋山簫寺
霞樵
ひと世代後の浦上玉堂は、画のタイトルを四文字で記すことが多いですね。
大雅に倣ったのかなと、大雅ファンとしては思います。
「無名 霞樵」白文聯印
この印章は、池大雅作品集(昭和35年中央公論美術出版)掲載811作品中、
2作品で確認されます。
一つは林原美術館の林原一郎氏旧蔵作品です。
表具裂が古く、変色と糸の欠落が多いです。
この表具はオリジナルと思われます。
手入れをお願いした表具師さんも同じ見解でした。
シミ・折れ・汚れはございますが、
十分に楽しんでいたがけるコンディションでございます。
時代箱
¥180000
消費税・送料込
□
□
□