胴径 約6㎝
高さ 約7,7㎝
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潤み色に塗られた棗に、
菊・芒・葛・桔梗・女郎花の秋の花々と、
秋の虫たちが、黒く、ぽってりとした蒔絵で描かれます。
拡大鏡で調べると、ただの黒漆でなく、何か金属であることがわかります。
だからこんなに繊細な絵でありながら、ぽってり盛り上がっているんですね。
芒の穂の繊細極まる表現、
葛の蔓の細い細いうねり。
信じられないほど超絶な技で描かれています。
花々の花びらの筋・輪郭、葉の葉脈・下草など、仔細表現は銀蒔絵によって描かれています。
芒の穂と細い葉茎・女郎花の葉茎・桔梗の茎はすっかり銀です。
菊の花の中央、蕊の部分に金の平目粉を施し、
鈴虫とバッタは銀で描かれ、おそらく錫で、細部を描き込んでいます。
甲に描かれた蜻蛉は芒の穂に摑まっています。
蜻蛉の目玉は金。
一般的には虫は植物と対比して、実景より大きなバランスで描かれますが、
本作品では、見たままのサイズに描かれています。
小さいですが、全く手抜きのない仔細表現。
ご覧になったら、きっとびっくり仰天されるでしょう。
ぱっと見、闇蒔絵のように見える落ち着いた蒔絵装飾は、
仔細に目をやる程に、凝りに凝った超絶な技巧によって成立していました。
こんなにすごい蒔絵を施しながら、
銘を入れることをしなかった職人魂。
感銘を受けずにおれません。
誂え箱
合の部分に針の先で突いた程度の小ホツと、
蓋の側面の表面に一本亀裂がございます。
¥70000
消費税・送料込
スマホカメラの性質上、底が窄まって写っていますが、質感が実物に近いです
フォルムはこの画像が近いです
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ノミホツ部分
身内側/ 底裏
蓋側面の亀裂は表面だけで内部に影響しておりません/ 蓋裏は下地の朱が透けた部分がございます