本紙 約134 × 50㎝
軸装 約185 × 67,7㎝
紙本

「興酣落筆搖五嶽」

李白(701~762)の詩「江上吟」の一節です。

気持ちが乗って、胸に湧いた詩を書けば、
揺るぎない山々も揺れるほどの波動なんだ。

李白の詩に共感する大雅の昂ぶりが伝わる、
大胆な書き振りです。

「搖」以外の文字は楷書ではっきりと書かれ、
誰の眼にも意味がはっきりと伝わります。

李白の詩は、
大雅の心そのものであったと、
この作品をみるとわかります。

「興」の文字は、潤って太く太く滲み、
まさに心躍るあまり、
躍り出しているように見えます。

関防印の《遵生》朱文長方印は、
30歳代後期~生涯使われた印章。

款記により制作年のはっきりしている作品の一番若い時は、
大雅様式の画のお手本の巻物「画式四種」の内の
《山水樹木図巻》《写意図巻》《写石図巻》、
宝暦12年(1762)、大雅40才。
一番晩年は、「重巒秋牧図」、
明和8年(1771)、49才です。
国宝「十便十宜図」にも使用された印章です。

《无名》白文方印
《霞樵》朱文方印

この二つの印章は、30才代と思われる作品にのみ捺されていて、
常に一緒に捺されています。
大きさが同じですので、同じ印材の両面と推測しています。

《大雅堂》朱文方印は、
有名な印章ですが、
実際に捺された作品は少なく、私は初見です。

本紙、軸装共に、
折れ、ヨゴレ、傷みが多く、
コンデションはよくありませんが、
作品の素晴らしさは、損なわれていません。

時代合わせ箱
(中身と箱書きが合っていません)

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池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵・九霞、他

京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲と並ぶ、大人気アーティストです。
20才代ですでに名声が高く、
旅が好きで日本各地を旅したため、
日本各地に大量に贋物が存在しています。

近世の絵師で、
国宝・重要文化財に指定されている作品は大雅が最も多いことは、
現在ではあまり知られていません。
文化庁にも数多くの大雅作品が収蔵されています。

川端康成、梅原龍三郎、谷川徹三ら
一流の文化人、画家たちも大雅に魅了され、
その作品を愛藏されていました。
国宝に指定されている「十便十宜図」は川端康成さんの旧蔵品です。

池大雅筆 興酣落筆搖五嶽

落款





裏側