約6,5 ×6,4㎝四方
高さ 約4㎝
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鎌倉彫は、
元・明・清の歴代中国から渡ってきた文物の一つ「堆朱」「堆黒」を模して、
日本で生まれた工芸技術の一つです。
堆朱・堆黒は、
漆塗を重ねて作った層を彫って模様を表します。
当然、一度塗ってできる漆の厚みはほんのわずかですので、
塗って乾いたらまた上から塗る、を気が遠くなるほど繰り返して、
漆の層を作ります。
その層が、削ると地層のように現れて、
美しい姿を見せるのです。
鎌倉彫は、
本来漆を塗り重ねることで厚みを作る工程を省き、
木材を彫って模様を現わし、
表面に漆を塗ることで「堆朱・堆黒」に似せたお品です。
手間ひまかけて作られる格の高い堆朱・堆黒とはまた違う、
少し気楽で洒脱な表現が、茶人に喜ばれました。
本作品は、隅切した四方形の香合。
甲部分に口を開けた龍が丸まって彫られています。
木目を残した、いかにも手仕事的な味のある表現です。
蓋の上の周りを一本わずかに立ち上げています。
これは彫って立ち上げた堅いラインではなく、柔らかな質感です。
漆の剥げた部分から、木紛を固めた芯が見えています。
側面の「彫って刻んで出した」屈輪(ぐり)模様の硬いラインと、
対比をみせる高度なセンスのバランスです。
本体の裏は、きっちりと黒漆が施され、
蓋を開けた内は、
あえてざっくりと塗られ、刷毛目を残しています。
ここでも対比で魅せています。
本歌の堆黒をぐっとカジュアルダウンさせ、
品良く軽快な作品に仕上げています。
どころどころにわずかな疵や剥げがございます。
画像でご確認ください。
時代箱・包布付
¥132000
消費税・送料込
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箱表/ 箱蓋裏
箱裏
箱に割印