径 約6,5㎝
高さ 約7,4㎝
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嵯峨棗は、枝垂桜や柳、藤・市松などの模様を蒔絵した桃山時代から江戸時代初期の棗です。
嵯峨嵐山でお土産物として売られていたとされています。
その、高級品として作られたのではない、
作為のない可愛げと遊び心、この時代にしかない蒔絵の質感が茶人に愛されました。
本作品は、その嵯峨蒔絵を写して、
江戸後期に作られたと思われます。
枝垂桜と柳が、蓋上の甲を真ん中から二分して描かれます。
一方で、底から側面に御簾が描かれます。
御簾は、柳の葉デザイン/すだれ/枝垂桜デザイン/すだれ、と手の込んだ縞。
上から描かれた柳・桜と、下から描かれる御簾の境界は、
屏風で画面を区切るときの手法、雲型で描き分けられています
もともとお土産であった嵯峨棗が、
茶人に高く評価されて垂涎の茶道具となりました。
それに憧れ、下手(げて)な素材・拙い技法でも、それっぽいお品が欲しい庶民の切なる気持ちが、
本作品を生んだに違いありません。
閉めた時には見えない合部分にも、
続き模様でべったり蒔絵がほどこされています。
蓋裏にも、
蓋上と同じ絵が、蓋上以上に一生懸命蒔絵してあります。
泥金(どろきん)と呼ばれる質の悪い金泥をやたらと盛り上げています。
そこがとっても面白い!
仕覆もいかにも素人作りで、しかもかなり傷んでいます。
身の内側は塗りなおっている可能性がございます。
裏に、漆塗りが捲れ始めた部分がございます。
画像でご確認ください。
蔵印付張札のある時代箱付
¥80000
消費税・送料込
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蓋を取った身
内側/ 底の塗の浮き上がっている部分
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