本紙 約127×28㎝
軸装 約190,5 ×29,9㎝
紙本墨画
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徳利形の花生けに生けられた蘭。
その後ろに、山水画の描かれた巻物が広げられています。
大雅作品ではとても珍しいモチーフです。
蘭は、大雅の好んで描いた作品数の多い植物です。
岩肌から生え、伸び伸びと葉を揺らす姿は、
大雅の愛した清々しい生命力の象徴にも思えます。
本作品では、口の狭い花生けに、
葉を重ねてちょっと窮屈そう。
長い葉を、たっぷり水分を含ませた筆で一息に描くみごとな筆致は、さすが大雅。
美しい葉の表現と比べ、
花生けの描き方の雑雑とした感じがおもしろい。
茎は真っすぐに立ち、花は小動物を思わせる愛らしい姿です。
花生けの後ろに描かれた巻物。
わざわざすっかり重ならせています。
何か特別な意味があるのでしょう。
描かれた作品の中に、屏風とか、掛け軸とかがあって、
その描かれた書画の中の絵を「画中画」と呼びます。
款記「霞樵」
黒々伸び伸びと、なんとも気持ちの良い筆致です。
この書き方は40才代後半でしょう。
捺された印章は、
「池橆名戴成印」白文方印
「九霞樵者」白文方印
この二つの印章は、ほとんどいつもペアで捺されます。
款記によりわかっている一番早い作品は、40才の時に描かれた《画式四種》。
40才代作品に数多く捺され、最晩年まで使われています。
本作品の表装は、中廻しがなく、
左右の柱が上下を貫いています。
「韃靼表装」と呼ばれるスタイルです。
汚れや折れはありますが、
鑑賞には差しさわりのないコンデションです。
時代箱
¥132000
消費税・送料込
汚れの目立つ部分
箱蓋の桟が一本欠損しています