21,5 ×23,5㎝四方
高さ 約23,5㎝
江戸時代
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黒漆地に金蒔絵で描かれた椿の花木と、
すっかり端から端まで青貝の梅樹。
二つの花木は、複雑に重なり合いながら、
重箱の四方の側面から天井の上面を貫き、
ぐるりと箱全体に連続して描かれています。
大胆な琳派の意匠です。
大きく花開く椿の花弁は鈍い銀色です。
銀蒔絵ではなく、何か金属箔を貼ったようにも見えますが、
素材・技法は不明です。
花弁輪郭線と花芯が金蒔絵によって描かれています。
幹枝と葉は輪郭を描かない没骨で、
葉の葉脈は塗り残して下の黒漆を見せることで表現されています。
葉先のところどころは、金に銀を混ぜた青金(せいきん)です。
琳派の画の垂らし込みの技法を、
蒔絵で表現しようとしていますね。
梅の木は幹枝、花のすべて螺鈿で表わされ、
輪郭と花芯を金蒔絵の細線で描いています。
螺鈿の青貝は大きな片です。
花は一枚の貝片。
細かな貝片を繋ぎ合わせて面とする表現もありますが、
一枚の貝片が大きなほうが、よりダイナミック!
そしてより絵画的です。
重箱は、表現できる画面が大きく、
しかも立体的ですので、表現の可能性の非常に豊かな器物です。
本作品は、日本特有の器物【重箱】に、
琳派の大胆な意匠で装飾を施した優品です。
古い時代のお品でございますため、
ところどころに小さな傷みや疵・修復痕がございます。
大きな痛みはございません。
内側はかなりヤケています。
小さな熱々の食べ物、饅頭か何かを入れた痕跡です。
小傷なども多々ございます。
画像でご確認ください。
重箱は、床飾りに不向きなこと、
嵩(かさ)高く保管に場所をとることから、
優れた作品も割安と存じます。
オリジナルの外箱があることから、
制作当初から三段であったことがわかります。
外箱のコンディションはよくありません。
¥135000
消費税・送料込
蓋甲(上面)
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連続の画面をつなげるとこうなります
横四面
水平と垂直も連続しています。
素晴らしい技巧!
葉っぱの虫食いは金の上に金で表現されています。お洒落です。
古い時代の重箱は、下の段ほど厚みがあります。
上段内側
上段傷み程度・裏
中段内側
中段の一番目立つ傷み・裏
下段内側・裏
このように、下に本体を乗せる段があり、上から箱を被せるのが
古い重箱の外箱のスタイルです。
外箱内・底