本紙 約119,5 × 48㎝
軸装 約198,5 × 92㎝
紙本淡彩

仮に「三聖図」としました。

三人の人物の後ろ、
右から長く尻尾が描かれ、
左側からちらっと片目を見せているのは虎です。
虎を連れた僧は豊干禅師。
(ぶかん・ほうかん/唐時代の禅僧とも)
とすると、巻物を手にした人物が寒山、
もう一人は捨得ということになります。

箒がないし、手前の二人は被り物をしているので、
違う人物の可能性もありますが、
一旦、仮の画題としておきます。

手前の人物の広げた巻物を見て、
三人は楽しそうです。
見ているこちらにまで、幸せな空気が伝わります。
最高です。

仔犬や子猫、
こどもの無垢な姿のように、
どんな人をも和ませてしまう笑顔です。
目の周りと手に施された薄い代赭(朱)が、
笑顔に温度を与えていますね。
大雅の得意技です。

大雅が描いた虎を、初めて見た気がします。
その点でもとても貴重な作品です。

三人と一頭は画面の幅いっぱいに描かれていますが、
少しもうるさくありません。

たっぷりと水を含んだおおらかな筆の墨で、
手前の二人の衣を描き、
中ほどの巻物紙、長い脚を白く残して、
画面いっぱいの絵にやさしい空間を生んでいます。
豊干の衣のアウトラインや環、
虎の真っ黒な墨が抜群のバランスで作品にパンチを効かせています。
大雅しか創れない画世界です。

款記は《霞樵》
印章は、
《无名》白文方印
《霞樵》朱文方印

「池大雅作品集」(昭和35年中央公論美術出版)掲載作品中では、
大雅が師と仰いだ祇園南海の筆法に倣って、
淀川を描いたことで知られた「澱水朝暾図」に、
やはりこの2つの印章が一緒に捺されています。
30才代の作品と考えられています。

本紙に傷みの修復痕がございます。

団龍を石畳模様で埋め尽くした緞子一文字
亀甲に団鶴文金襴中廻
極上の象牙軸先(普通のよりも長いです)
無地誂え箱

¥190000
消費税・送料込

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池大雅筆三聖図
この書き方は弊店の弦召図に近いです
《池大雅筆 弦召図》

   
修復痕

4㎝

少し捲れかけています

池大雅
享保8年(1723)~安永5年(1776)
諱/橆名(ありな)・勤
字/貨成・公敏
号/大雅堂・三岳道者・霞樵・九霞、他

京都に生まれ活躍した、絵師で書家、文人。
当時、応挙・若冲と並ぶ、大人気アーティストです。
20才代ですでに名声が高く、
旅が好きで日本各地を旅したため、
日本各地に大量に贋物が存在しています。

近世の絵師で、
国宝・重要文化財に指定されている作品は大雅が最も多いことは、
現在ではあまり知られていません。
文化庁にも数多くの大雅作品が収蔵されています。

川端康成、梅原龍三郎、谷川徹三ら
一流の文化人、画家たちも大雅に魅了され、
その作品を愛藏されていました。
国宝に指定されている「十便十宜図」は川端康成さんの旧蔵品です。